「日本で夫婦別姓を選択できるようになるのはいつから?」
「そもそもいつから日本は夫婦同姓になったの?」
「日本で夫婦別姓になる可能性はあるの?」
と考えることはありませんか?
女性進出が進んできているので、結婚を機に苗字が変更になるのは面倒だと感じることも少なくありませんよね。
そこで今回は夫婦別姓になるための動きや、そもそも夫婦が同姓を名乗るようになった歴史などを徹底的に調べました。
当記事で紹介する内容は、次のとおりです。
- 夫婦別姓になるのはいつから?国会の動きを解説
- そもそも夫婦同姓になったのはいつから?歴史を解説!
- 日本と海外の状況の違いを解説!
夫婦別姓の動きや今までの歴史に興味を持っている方はぜひ、最後までお読みください。
海外と日本との違いや今までの歴史について理解できると幸いです。
夫婦別姓になるのはいつから?動きを解説!
日本で夫婦別姓が認められるかどうか、いつから夫婦別姓になるのかなどについては今のところなんとも言えません。
当項目では日本における夫婦別姓の下記の動きを、紹介します。
夫婦別姓について令和3年の司法判決とは?
夫婦別姓について、令和3年に夫婦同姓は憲法に違反するものではないとの判決が出されました。
判決結果が法務省のホームページに載せられています。
現在の民法のもとでは,結婚に際して,男性又は女性のいずれか一方が,必ず氏を改めなければなりません(この制度を夫婦同氏制度と呼んでいます。)が,夫婦同氏制度が憲法に違反しているのではないかが争われた裁判で,最高裁判所大法廷は,平成27年(判決)と令和3年(決定)の2度にわたり,夫婦同氏制度は憲法に違反していないと判断しました。
もっとも,これらの最高裁判所大法廷の判断は,いずれも選択的夫婦別氏制度に合理性がないとまで判断したものではなく,夫婦の氏に関する制度の在り方は,「国会で論ぜられ,判断されるべき事柄にほかならないというべきである」と判示しているものです。
令和3年の判決によると、下記のことが分かります。
今の段階では、法的に結婚する場合夫婦は夫婦で同姓を名乗るのことが必要です。
上記のホームページの言葉からも、今後の国会の決定次第によっては変化する可能性も否定できません。
選択的夫婦別氏制度とは?
選択的夫婦別姓とは法的に結婚した夫婦が夫婦同姓を名乗るのか、夫婦別姓を名乗るのかを選べるシステムです。
日本ではまだ導入されていませんが、度々議論の対象になっています。
選択的夫婦蔑視制度について、法務省のホームページには下記の説明が載せられていました。
選択的夫婦別氏制度とは,夫婦が望む場合には,結婚後も夫婦がそれぞれ結婚前の氏を称することを認める制度です。なお,この制度は,一般に「選択的夫婦別姓制度」と呼ばれることがありますが,民法等の法律では,「姓」や「名字」のことを「氏」と呼んでいることから,法務省では「選択的夫婦別氏制度」と呼んでいます。
現在の民法のもとでは,結婚に際して,男性又は女性のいずれか一方が,必ず氏を改めなければなりません。そして,現実には,男性の氏を選び,女性が氏を改める例が圧倒的多数です。ところが,女性の社会進出等に伴い,改氏による職業生活上や日常生活上の不便・不利益,アイデンティティの喪失など様々な不便・不利益が指摘されてきたことなどを背景に,選択的夫婦別氏制度の導入を求める意見があります。
法務省としては,選択的夫婦別氏制度の導入は,婚姻制度や家族の在り方と関係する重要な問題ですので,国民の理解のもとに進められるべきものと考えています。
上記でも紹介した通り、現時点で日本では選択的夫婦別氏制度は認められていません。
法務省のホームページによると、選択的夫婦別氏制度が導入されるかどうかは、今後の国会の動き次第だと分かります。
選択的夫婦別姓についての国の動きとは?
選択制夫婦別氏性度に関する国の動きが、法務省のホームページに記載されていました。
法務省においては,平成3年から法制審議会民法部会(身分法小委員会)において,婚姻制度等の見直し審議[PDF]を行い,平成8年2月に,法制審議会が「民法の一部を改正する法律案要綱」を答申しました。同要綱においては,選択的夫婦別氏制度の導入が提言されています。この答申を受け,法務省においては,平成8年及び平成22年にそれぞれ改正法案を準備しましたが,国民各層に様々な意見があること等から,いずれも国会に提出するには至りませんでした(平成22年に準備した改正法案の概要等については,平成22年2月24日開催第16回法務省政策会議配布資料[PDF]及び平成22年に準備された改正法案(氏に関する部分)の骨子[PDF]をご参照ください。)
法務省の動きを、簡単にまとめると次の通りです。
- 平成3年:法制審議会民法部会で婚姻制度等の見直し審議が行われる
- 平成8年:民法の一部を改正する法律案要綱を答申(選択制夫婦別氏制度を提案する内容を含む)
- 平成22年:再び選択制夫婦別氏制度の提案が法務省から答申される
- *どちらの場合も国会に提出するまでには至っていない
法務省では、夫婦別姓に関する問題が約30年前から度々持ち上がっているようですが、国会に提出するまでに至っていません。
夫婦別姓に関する意見は、国民の間でもさまざまな意見に分かれていることが分かります。
そもそも夫婦同姓になったのはいつから?歴史を解説
と感じることはありませんか?
法務省のホームページを参考に、日本の苗字や夫婦同姓についての歴史を下記にまとめました。
上記のように、夫婦同姓が法律で決まったのは明治時代のことです。
当項目では日本の夫婦同姓の歴史について、下記のことを紹介します。
苗字が取り入れられたのは明治時代から
上記の表で紹介しましたが、日本国民全体が苗字を名乗るようになったのは明治時代からです。
- 武士しか名乗れなかった苗字を国民全体が名乗るようになった
- 民法にも結婚した夫婦が同姓を名乗ることが記載された
明治時代に苗字を名乗ることが義務付けされたことがきっかけで、結婚した夫婦も夫又は妻の苗字を名乗るシステムが導入されました。
明治31年の民法が、現在の夫婦同姓の始まりだとも言われています。
苗字はなくても屋号はあった!
国の民法として夫婦同姓が決定したのは、明治31年でしたが、夫婦同姓に近い考え方は明治時代以降存在していたという考え方もあります。
庶民が苗字を名乗れなかった江戸時代、苗字の代わりに一族、一門などを区別するために屋号が使われていました。
結婚して嫁に入った女性は、嫁ぎ先の屋号を名乗るが一般的だったのです。
一例として、〇〇の家の娘だった花子さんが▲▲の家に嫁ぐことになった件を考えましょう。
近所の人:〇〇の花子さんが▲▲の家にお嫁に行ったてよ!
花子さん自身:▲▲の花子です
当然近所の間では、上記のように情報が広まり周囲からは▲▲の花子さんと言われ、花子さん自身も▲▲と嫁ぎ先の屋号を名乗ります。
当時は、結婚すると家に嫁ぐという考え方が現在以上に根付いていたため、嫁ぎ先の屋号を名乗るのは当然でした(婿養子の場合も同様)。
夫婦同姓が民法という形で正式に義務付けされたのは明治31年ですが、結婚した夫婦が同じ屋号を名乗る習慣はそれ以前には存在していたのです。
一方で、もともと苗字を持っていた武家の娘は、結婚後も父方の苗字を名乗っていたこともありました。
昔からの風習がさまざまに巡っているので、世間でも夫婦別姓に対するさまざまな意見がある理由が理解できます。
昭和22年の改正民法成立の内容とは?
法務省によると昭和22年に改善民法の成立の内容は、下記の通りです。
夫婦は,婚姻の際に定めるところに従い,夫又は妻の氏を称することとされる(夫婦同氏制)。
※ 改正民法は,旧民法以来の夫婦同氏制の原則を維持しつつ,男女平等の理念に沿って,夫婦は,その合意により,夫又は妻のいずれかの氏を称することができるとした。
上記の民法を、簡単にまとめました。
昭和22年の改正民法成立後、夫婦同姓に関する内容の改正は行われていません。
現在の夫婦同姓に関する決まりも、昭和22年に決められた条例に従って定められています。
日本と海外での夫婦別姓事情の違いを解説!
日本で夫婦別姓について問題になり始めたことの理由の1つとして、世界の国々からの影響が考えられます。
海外では夫婦別姓のケースも珍しくないため、夫婦同姓に関する日本の法律は国際的ではないと考える人もいるようです。
当項目では、日本と海外での夫婦別姓事情の違いについて下記のことを紹介します。
海外では夫婦別姓が当たり前?
海外では夫婦別姓の考え方が主流だと思われがちですが、実際の状況はどうなのでしょうか?
結婚しても夫婦別姓であることが決まっている国と、夫婦同姓か別姓かどうかを選べる国が存在します。
夫婦別姓の国の一例は、下記の通りです。
- 韓国
- 中国
- シンガポール
- スペイン
夫婦別姓か夫婦同姓かを選べる国の一例を、下記にまとめました。
- アメリカ
- カナダ
- ヨーロッパの多くの国
- ニュージーランド
特にアメリカとカナダは州によって夫婦同姓に関する法律が異なります。
夫婦同姓か、夫婦別姓かを選べる国の中には、法律上は苗字を変えずに普段の生活では夫の姓を名乗ることも珍しくありません。
夫婦同姓は日本だけ?
夫婦同姓が法律によって義務付けられているのは、日本だけだと言われています。
トルコやタイも夫婦同姓が義務付けられていましたが、現在は夫婦別姓が認められるようになりました。
上記のように、日本だけが結婚した後の苗字について法律で決められていることに対して問題になることもあるようです。
そもそもなぜ夫婦別姓にこだわるのか?何が問題なのか?
夫婦別姓についての記事を読んだり、ニュースを見たりしていると下記のように感じることはありませんか?
確かに、日常生活を送っていると、夫婦同姓であろうと別姓であろうとそれほど大きな影響を受けないと感じることもありますよね。
夫婦別姓について、多くの人が考がえがちなことや心境を、下記にまとめました。
当項目では、夫婦別姓にこだわる人の賛成意見や、こだわっていない人の心境について紹介します。
女性の社会進出
女性の社会進出が進んだことにより、結婚しても名前を変えたくない女性が増えてきました。
結婚して名前が変わると、考えられる問題点の一部を下記にまとめました。
上記の内容について、詳しく紹介します。
【名前を変更したらキャリアがなくなってしまう】
大学や会社の研究室で研究し、論文を世界に発信している女性も少なくありません。
結婚後に名前が変わった状態で論文を出さなければならない場合、今までの実績や研究に残された名前ではなくなってしまうのです。
上記のように最前線で活躍している女性は、結婚して名前が変わると大きな影響を受けるでしょう。
【取引先とのやり取りで差し支えがある】
仕事をガンガンとこなすタイプの女性でなくても、オフィスで名前が変わると不都合だと感じる人も少なくありません。
中には、仕事の時だけ旧制で仕事を行っている人もいます。
上記のように仕事をしている女性にとって、法律で夫婦同姓を義務付けられると仕事に支障をきたすケースが多いようです。
男女平等の声
男女平等の考え方から、夫婦別姓にして欲しいと考えている人も少なくありません。
今の日本の法律では、妻が夫の姓に強制的に改名させられるわけではありませんが、多くの場合女性が苗字を変更するケースが多いのが事実です。
名前が変更することにより、自分のプライベートな事が否応なしに周囲に知られてしまいます。
「プライベシーを守りたい」「女性に負担がかかるのは辛い」上記のように感じて、夫婦別姓の方がいいと感じる人も少なくありません。
家族重視か個人重視かの問題
家族重視なのか、個人重視なのかの問題だと感じる人もいます。
先ほども触れましたが、江戸時代には嫁ぎ先の家の屋号を名乗るケースも珍しくなく「結婚=家に入るもの」という考え方が大きく反映されていました。
いわゆる家族重視です。
しかし、海外の牡蠣の考え方が日本にも入ってきたた結果、個人重視の考え方も増えてきています。
選択的夫婦別姓を希望しているだけで、義両親の介護したくないからだろ、夫の家の人間になる覚悟がないと言われるの?
嫁にもらう、よその家の娘になる、介護は嫁の務め…等家制度時代の思考半端ない
夫婦ともに親の戸籍から抜け新しく家族を作るんだから、改姓した側が何か背負うのはおかしいよ— はるこ (@japangotoluv) February 26, 2022
個人重視の考え方の人たちは、カップルにとって一番都合の良い方法を考えたらいいのではないかと感じているようです。
どうでもいい&くだらないという声もある
夫婦別姓の問題がヒートアップすることに対して、どうでもいい、くだらないと感じる人もいます。
いやだから「選択的」夫婦別姓だから家が大事な人は夫婦同姓を選択すればいいんだってば。どっちでもいいんだよ。それを他人に強制してはいけないと言ってるだけで
— 4代目 (@4thlawyer) June 28, 2021
「どうでもいい」「くだらない」と聞くと、夫婦同姓、別姓の問題自体がくだらないと感じているように聞こえます。
しかし、実際は次のように感じるも多いようです。
ヒートアップしている様子を「くだらない」と感じている人も、少なくありません。
仮に夫婦別姓になった場合でも、他の人の決定を批判しかねない発言に対しても「どうでもいい」と感じる人もいます。
日本の夫婦別姓状況を解説!
現在日本での、夫婦同姓、夫婦別姓の現状はどうなっているのでしょうか?
当項目では、下記について詳しく紹介します。
95%以上の夫婦が結婚を機に夫の苗字を名乗る
厚生労働省によると、結婚した夫婦の96%が夫の苗字を名乗っています。
民法では結婚時に夫、妻の苗字を名乗る事ができますが女性が苗字を変えるケースが圧倒的に多いのです。
前述でも紹介しましたが女性の側が苗字が変わることに関するデメリットを、再度紹介します。
プライベートなことを、伝える必要のない人にまで知られてしまうの事はデメリットです。
研究をしたり論文を書いていたりして、世界で活躍するために努力してきた人は、名前が変わる事が原因でキャリアがなくなる可能性も否定できません。
上記のように、結婚や離婚に伴う苗字の変化によって女性にかかる負担が大きいことは問題点となっています。
現在夫婦別姓を名乗る場合の問題点について
夫婦同姓の状況で起こり得る問題点を考慮して、夫婦別姓を名乗ることにしたカップルもいます。
しかし、現在の日本の法律では、法律上で結婚した夫婦が別姓を名乗ることは認められていません。
夫婦別姓を名乗る場合、事実婚として生活することになるため次の問題が起こり得ます。
現在の日本の法律下で、夫婦別姓のスタイルを貫くのであれば、法律上の夫婦に比べてデメリットが大きいことを覚えておきましょう。
夫婦別姓のデメリットについては、下記を参考にされてください。
まとめ
日本でもいつから夫婦別姓が認められるのか、今のところわかりません。
今後の国会の動きによっては、夫婦別姓の可能性が全くないとは言い切れないでしょう。
今現在分かっている、夫婦同姓、夫婦別姓に対する流れは下記の通りです。
- 夫婦別姓について令和3年の司法判決では「民法で定められている夫婦同姓は憲法に違反していない」と判断された
- 選択的夫婦別氏制度は、夫婦同姓か別姓かを選べるシステム
夫婦別姓に関しての国の動きを、再度まとめました。
- 平成3年:法制審議会民法部会で婚姻制度等の見直し審議が行われる
- 平成8年:民法の一部を改正する法律案要綱を答申(選択制夫婦別氏制度を提案する内容を含む)
- 平成22年:再び選択制夫婦別氏制度の提案が法務省から答申される
- *どちらの場合も国会に提出するまでには至っていない
日本の夫婦同姓に関する歴史を、再度おさらいしましょう。
- 江戸時代:武士以外の身分(農民、商人など)は、苗字を名乗ることは許されていなかった
- 明治3年:太政官布告が出され、全ての人が苗字を名乗ることが許された
- 明治8年:太政官布告が再び出され、全ての人が苗字を名乗ることを義務付けされた
- 明治31年:民法が成立され、夫婦同氏制が適応される
- 昭和22年:改正民法が成立され、婚姻の際に夫婦は同姓を名乗ることとされる夫婦同士性が適応される(現在に至る)
夫婦同姓はもともと明治時代から導入されたシステムです。
しかし「結婚=家に入る」という考えが強かった日本の文化やしきたりを考慮すると、妻が旦那の苗字を名乗るの考えは新しい考え方だとも言い切れません。
国民の考えや、感情が入り混じっているため、夫婦別姓に関して賛否両論あるのも理解できます。
これからどのように変化していくのか、気になるところです。
苗字に関する記事や事実婚に関する記事も、合わせてお読みください。
コメント