「夫をのこぎりで殺害ってどういうこと?」
「熟年夫婦に何があった?!」
「さすがに凶器がのこぎりは怖すぎる!」
奥さんが夫をのこぎりで殺害したという驚きのニュースを見て、上記のような感想を抱いた方も多いでしょう。
今回の記事では、以下3点について紹介します。
- 夫をのこぎりで殺害!事件の経緯は?
- のこぎりで夫を殺害!包丁ではなくのこぎりを使用した理由は?
- 夫をのこぎりで殺害!奥さんの求刑は?
順番に見ていきましょう。
夫をのこぎりで殺害!事件の経緯は?
2021年3月5日の午前、奥さんが夫をのこぎりで殺害したという驚きのニュースが飛び込んできました。
しかも、殺害したのは逮捕当時76歳の高齢妻で、殺害されたのは殺害当時83歳の高齢夫。
事件の高齢夫婦にいったい何が起こったのか、気になる方も多かったことでしょう。
今回の章では、気になる事件のいきさつについて以下の通り解説します。
- 25歳で見合い結婚
- 28年間の結婚生活の後に離婚
- 夫が倒れて仕方なく再婚
- 17年間の介護生活と自身の死の予兆
- 夫をのこぎりで殺害
順番に見ていきましょう。
25歳で見合い結婚
夫婦の出会いは、遡ること約50年前の1970年。
当時は特に珍しくはないお見合い結婚で、ふたりは夫婦になりました。
一般的な夫婦であれば、たとえお見合い結婚であっても、一緒に暮らしていくうちに情が生まれ、次第に相思相愛の夫婦になっていくもの。
しかし、今回の事件の夫婦に一般論は通じませんでした。
というのも、
調書によると、加害者である奥さんは被害者である夫に対して以下のように語ったといいます。
見合い結婚したが、好きだと思ったことは一度もない。暴力振るうところが一番嫌いでした。顔を殴られたことは3回あります。それ以外にも、殴られそうになったり、ものを投げられたことは何度もあります。 他にも嫌いなのは、お金をくれないところです。工場勤めだった寿雄(夫)は、結婚3ヶ月後から給与を渡さなくなり、最初のボーナスもくれませんでした。給与はほとんど酒やパチンコなどの遊びに使っていた。私は働き詰めで家計を支え、子供を育ててきました
夫婦には、長男と長女の2人の子どもがいたにも関わらず、夫は自分の稼ぎを家庭に入れることはせず、自身の遊びのために使っていたというのです。
同事件を報じた「週刊女性PRIME」は、モラハラ気質があった夫について以下のように記載しています。
給料は夫がパチンコと酒に費し、「お金をください」と女性が頭を下げればわずかをよこすが、飲んでは物を投げ、殴る素振りで脅し、時には実際に殴られた。飲まずとも、「クソババア」「バカか」の罵りを毎日浴びてきた。
加害者である奥さんが、夫に嫌気が差すのは当然といえるでしょう。
とはいえ、時代は昭和。
現在のように、簡単に離婚ができる時代ではありませんでした。
したがって奥さんは、夫に耐えながら夫婦生活を続けていく他なかったのです。
28年間の結婚生活の後に離婚
奥さんに転機が訪れたのは、1998年でした。
長女が結婚したのを機に離婚を決意。
奥さんは、独身時代ぶりの幸せな時間を手に入れることに成功したのです。
夫が倒れて仕方なく再婚
奥さんの幸せは、長くは続きませんでした。
夫婦が離婚した後、被害者である夫が栄養失調で入院し、退院後は一時介護が必要な状態となってしまったのです。
加害者である奥さんは、以下のように考えました。
長男に介護は無理、娘にもやらせるわけにはいかない
つまり、元夫と仕方なく復縁をしたのです。
2005年の出来事でした。
とはいえ、一審検察側冒頭陳述によると、被害者である夫は以下のような状況だったといいます。
- 寿雄さん(被害者)は当時、ほぼ1日、1階の六畳和室に引きこもる生活
- 長年風呂に入らず、部屋を出るのはトイレの時だけ、長男や被告人が渡すパンやおにぎりなどの軽食を食べ生活していた
つまり、介護のために復縁したとはいえ、ただの同居人という形。
加害者である奥さんが被害者である夫の介護を積極的に行うわけではなく、生活に必要な最低限の食事だけ与え、あとは完全に放置だったのです。
一審・証人尋問での長男の証言によると、加害者である奥さんと同居していた長男が行っていた介護は、以下のようなこと。
昼食はコッペパンとアイスクリーム、夕食は買いだめしていたオニギリを渡すだけでした。着替えは1年に1回、パジャマを着替えていました。「着替えて」って言って渡して、着替えるだけ。
とても介護をしているとは言い難い生活であったことが分かりますよね。
とはいえ、長年の結婚生活で被害者である夫が加害者である奥さんに対してやってきたことを考えれば、当然の報いであるといえるでしょう。
17年間の介護生活と自身の死の予兆
「週刊女性PRIME」によると、被害者である夫は「介護してもらっている状態」になってもなお、モラハラ気質が抜けなかったといいます。
夫は下の世話をしてもらいながらも暴言を吐いたという。あまりの臭さに吐きながらオムツを替えたこともあった。やがて夫は自力で排泄できるまで回復はしたが、今度は、自室に引きこもった。トイレには行くが、歯は磨かず、風呂に入らず、下着を替えず、雨戸の閉じた部屋で1日中テレビをつけゲラゲラと笑い、時に奇声を上げた。そんな生活が17年間続いた。
「早く夫が居なくなればいいのに」というのが、加害者である奥さんの口癖でした。
しかし当然、同言葉に深い意味はなく「=殺害」になるほどのものではなかったのです。
ところが、
奥さんは、夫が死ぬよりも先に自分が死ぬ可能性があることに、大きな恐怖心を抱きました。
自身の死が現実味を帯びてきたことで、夫の殺害を決意したのです。
夫をのこぎりで殺害
加害者である奥さんは、同居している長男が通院をする2021年3月5日に、夫の殺害を決意しました。
殺害方法は、一般的に考えられる包丁ではなくのこぎり。
凶器はノコギリと決めた。83歳の夫とはいえ、間違ったら自分が死ぬ。ノコギリなら確実に殺せると考えた
夫を殺害する前日、加害者である奥さんはのこぎりの切れ味を確かめるためなのか、庭の木々を伐採する姿が近所の住民に目撃されています。
かなりの計画的な犯行であるといえるでしょう。
のこぎりで夫を殺害!包丁ではなくのこぎりを使用した理由は?
「76歳の奥さんが83歳の夫をのこぎりで殺害」というショッキングなニュースは、世間を大きくざわつかせましたよね。
「包丁で殺害」や「首を絞めて殺害」であれば、ごく一般的にある殺害事件として片付いたかもしれませんが、のこぎりで殺害という残虐さに多くの国民が大きな衝撃を受けたことでしょう。
今回の章では、加害者である奥さんが包丁ではなくのこぎりを使用して夫を殺害した理由について、以下の通り説明します。
- 家に包丁がなかったから
- のこぎりのほうが確実に殺せると思ったから
順番に見ていきましょう。
家に包丁がなかったから
76歳の奥さんが83歳の夫をのこぎりで殺害した理由は、自宅に包丁がなかったからです。
「包丁がない家なんてあるの?」と、驚きを隠せない方も多いでしょう。
一般的な考えでは、包丁は調理のために家庭に最低1つはあるもの。
しかし、
今回の事件の家でも、夫が奥さんに対して日常的に暴力を振っていたことは明白ですし、言葉の暴力もあったことが分かっています。
感情的になった夫が包丁を手にしないよう、奥さんは包丁を捨て、自炊は一切しなかったのでしょう。
のこぎりのほうが確実に殺せると思ったから
家に包丁がなかったのもありますが、76歳の奥さんは「のこぎりのほうが確実に殺せると思った」と供述しています。
83歳とはいえ、夫は力の強い男性。
夫の寿雄を殺しました。今の気持ちはほっとしたという感じです。力で負ける女の自分は夫を殺せるか分からなかった。殺すことができてほっとしている。
横浜地裁で行われた供述で、上記のように語った加害者である奥さん。
殺害当時の状況は、以下の通り。
女性は夫の部屋にマスクをして入った。「昼か?」と夫は聞いたという。「いいえ」と女性は答え、夫に馬乗りになった。抵抗され女性も負傷したが、首に思い切り刃をあてるとおとなしくなったが、息を吹き返さないよう、胸の上に乗り続けた。
加害者である奥さんは、夫の胸の上に2時間以上も乗り続けたといいます。
事件当時、夫の体重はわずか37kg。
37kgと同じか少し重い体重の人間が長時間胸の上に乗り続けることで、夫に致命的な被害が及ぶのは明確。
奥さんは、夫が確実に死ぬのを確認するまで動けなかったのでしょうね。
夫をのこぎりで殺害!奥さんの求刑は?
今回の事件はとても残酷ではありましたが、元を辿れば被害者である夫がもっと家族に対して優しくしていれば良かった話でもあります。
したがって、加害者側を擁護する声があるのも事実。
最後に、加害者である奥さんに提示された求刑について、以下の通り解説します。
- 8年の実刑判決
- 夫殺害後の奥さんの心境の変化について
順番に見ていきましょう。
懲役8年の実刑判決
夫をのこぎりで殺害した奥さんに与えられた刑は、懲役8年の実刑判決。
刑法第199条に記載されている刑罰は、以下の通り。
今回の事件の加害者である奥さんは、最低レベルの5年の懲罰よりも3年長い罰を受けることになるため、裁判官は「被告人に酌量の余地はない」と見たことになります。
加害者である奥さんに強い殺意があったので、酌量の余地がないとみなされてしまったのでしょうね。
夫殺害後の奥さんの心境の変化について
夫殺害後の奥さんの心境の変化は、以下の通りです。
奥さんの心境 | |
逮捕直後 | 夫を殺害できてほっとした気持ち |
一審・横浜地裁公判 | 証言を否定し、自分の頭を何度も殴った(=後悔?) |
控訴審第一回公判 | 自分の足で歩き、犯した罪に対して謝罪した |
控訴審第一回公判では、弁護人と以下のようなやり取りをしました。
弁護人 | 前の横浜の裁判で、話したこととか、調書とか、違ってたなって思うことはありますか? |
被告人 | ん~……いい人だったなと思う。だから……反省している。とても、後悔してる |
弁護人 | 一審では「寿雄殺した、バンザイ」と、そう思ってるか聞かれて「そうかも」って答えていましたが、今思うと? |
被告人 | そのときは思ってたけど、今、時間が経って……だから……やっぱり、人の命はね、大切にしなきゃいけないね |
自らが犯した罪を認め、後悔の念が押し寄せていることが分かりますね。
加害者である奥さんは、介護を必要としていた夫に対して「もう少ししっかり介護をしてあげられていたら夫は元気になっていたんじゃないかと思う」とコメントしていました。
なかなか難しい事件であることは、いうまでもありません。
まとめ
今回の記事は、老夫婦に起こった残虐な事件の全貌を紹介しました。
奥さんが夫殺害にあたって包丁ではなくのこぎりを使用した理由は、以下の通り。
- 家に包丁がなかったから
- のこぎりのほうが確実に殺せると思ったから
強い殺意と、のこぎりを使用して殺害というダブルパンチで、元々被害者だった奥さんは懲役8年の実刑判決を受けています。
最初こそ強い殺意があったものの、時が経って落ち着いてきたことから、夫を殺害したことに対して強い後悔の念があることも分かりました。
刑務所から出てきたら、長男や長女、孫たちと幸せな時間を過ごして欲しいですよね。
ちなみに以下の記事は、夫を毒殺した実際の事件について紹介している記事になります。
残虐な事件は、国内外問わず様々あるのですね。
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