「『夫妻』と『夫婦』の違いは何?」
「より丁寧に言いたい場合は『夫妻』と『夫婦』のどちらを使えばいい?」
「『夫妻』と『夫婦』を使った例文が知りたい!」
とお考えではありませんか?
ほぼ同じような意味の『夫妻』と『夫婦』。
しかし、二つの言葉には微妙な違いがあるので、使い分けが難しいと感じる方も少なくありません。
当記事では
- 『夫妻』と『夫婦』の違いは何?
- 『夫妻』『夫婦』を使った例文は?
- 法律用語で使われるのは『夫婦』!
といった内容を徹底解説していきます。
『夫妻』と『夫婦』の違いについて知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
最後までお読みいただければ『夫妻』と『夫婦』を正しく使い分けられるようになるはずです。
『夫妻』と『夫婦』の違いは何?
日本語には同じような意味の言葉がたくさんあります。
『夫妻』と『夫婦』もそのひとつです。
しかし『夫妻』と『夫婦』には、使い方や類語に微妙な違いがあります。
- 意味の違い
- 使い方の違い
- 類語の違い
- 英語表記の違い
それぞれの内容に分けて、二つの言葉の違いを見ていきましょう。
意味の違い
まずは『夫妻』と『夫婦』の意味の違いから解説していきます。
似たような意味の日本語ですが、辞典に書かれた意味を比較しながら見ていきましょう。
夫妻
goo辞書によると『夫妻』の意味は次のように解説されています。
ふ‐さい【夫妻】 の解説
夫と妻。夫婦。
辞書にも『夫妻』の意味は『夫婦』だと記載されているようです。
つまり意味は『夫妻』も『夫婦』も同じということになりますね。
文字を見ても分かるように『夫妻』は『夫』と『妻』を足すことで、成り立っている言葉です。
『妻』は『夫』の対義語ですので、反対の意味を持つ漢字を組み合わせた二字熟語になっていることが分かります。
似たような作りの熟語としては
- 上下
- 左右
- 男女
- 今昔
- 姉妹
などが挙げられるでしょう。
夫婦
続いて『夫婦』の意味を、同じようにgoo辞書で見ていきます。
ふう‐ふ【夫婦】 の解説
婚姻関係にある男女の一組。夫と妻。めおと。
『夫婦』も『夫妻』と同じく、夫と妻を指す言葉です。
違うのは女性の表現が『妻』か『婦』かという違いでしょう。
これは紀元1世紀に作られた中国の『説文解字』という字書にも載せられており、現代まで長く支持されていました。
「ほうき」という言葉から「家事一般を担う女性」とイメージする人は少なくありません。
そこから「女性は家事をするべきだ」という認識を生むため、現代社会に『婦』という言葉は相応しくないという意見もあります。
使い方の違い
意味はほとんど同じであることが分かりましたが、使い方には大きな違いが。
『夫妻』と『夫婦』の使い方を、それぞれ見ていきましょう。
夫妻
『夫妻』をデジタル大辞泉で見てみると、補説があります。
ふ‐さい【夫妻】
夫と妻。夫婦。
[補説]「夫婦」の、やや改まった言い方。「私たち夫妻」のように、自分たちについては使わない。
『夫妻』は『夫婦』をやや丁寧にした表現です。
そのため、自分たちではなく、よその夫婦に対して使うのが一般的。
丁寧な表現である「夫妻」を自分たちに使うと、相手に非常識だと思われてしまうので使わないようにしましょう。
夫婦
『夫婦』は婚姻関係にある男女を指す言葉です。
そのため、夫と妻二人をひとつの言葉で表したい時に、使うことができます。
「私たち夫妻が」とは言いませんが「私たち夫婦が」というのは自然な表現になります。
類語の違い
次に『夫妻』と『夫婦』の類語を見ていきましょう。
夫妻
まずは『夫妻』の類語を解説します。
Weblio辞書によると『夫妻』の類語は下記の通りです。
夫妻
類語
夫と妻・妹背・妻夫・夫婦関係・夫婦・女夫・伉儷
『妹背』や『伉儷(こうれい)』は夫婦や夫婦の仲を意味する単語。
夫婦
次に『夫婦』の類語も見ていきましょう。
『夫妻』と同じようにWeblio辞書から解説していきます。
夫婦
結婚している人:夫婦
互いに結婚している2人:夫と妻・妹背・妻夫・夫婦関係・夫妻・女夫・伉儷
一緒に住んでいるペア:カップル。・番・アベック・番い・ペヤ・アヴェック・ペア・妻夫・好一対・女夫・ペアー
互いに結びついたペア:カップル・二人組・ドゥオ・アベック・番い・一対・デュオ・ペヤ・アヴェック・ペア・妻夫・女夫・ペアー
『夫妻』よりもカジュアルに使える表現なので、類語の違いが出てくるのでしょう。
英語表記の違い
日本語では微妙な違いのある『夫妻』と『夫婦』ですが、英語表記に違いはありません。
結婚した男女を指す言葉は、Weblio和英辞典で下記のように表現されていました。
英訳・英語
man and wife; Mr.and Mrs.; husband and wife, married couple
英語で表現する際は、文章によって単語が異なってきます。
- 「私たちは夫婦です。」→We are husband and wife.
- 「私たち夫婦は~」→My husband and I~.
- 「私たち夫婦は若夫婦たちを招待した」→We invited several young marrieds.
- 「私たち夫婦はその老夫婦を気の毒に思った」→We were sorry for the old couple.
その場の状況に相応しい英語表現を使うようにしましょう。
『夫妻』『夫婦』を使った例文は?
実際に『夫妻』や『夫婦』を使った例文をご紹介します。
例文を見ると、二つの言葉の微妙な違いが分かりやすくなるはずです。
夫妻
まずは『夫妻』を使った例文をご紹介します。
このように『夫妻』は、自分たち以外に使われる言葉です。
下記のようには言えないので注意しましょう。
夫婦
次は『夫婦』を使った例文です。
自分たちや身内を指す言葉として用いるのが適当でしょう。
また『夫婦』を含む慣用句やことわざもあります。
一方で『夫妻』を使った慣用句はことわざは見当たりませんでした。
法律用語で使われるのは『夫婦』!
『夫婦』は「結婚して法律的に婚姻関係にある男女」という意味です。
『夫妻』も同じ意味ですが、法律用語として用いられるのは『夫婦』ですので注意しましょう。
「夫婦同姓規定」や「夫婦財産制」など、法律用語として成り立っているものもいくつかあります。
「夫妻同性」「夫妻財産制」とは言いませんので、注意が必要です。
『夫妻』と『夫婦』どのように使い分けている?ネット上の声
一般的には『夫妻』と『夫婦』をどのように使い分けているのでしょうか?
ネット上では
- 内容によっても変わる
- 『夫妻』は品格のある表現
- 『妻』と『婦』の意味を理解して使い分ける
といった声が寄せられていました。
詳しく見ていきましょう。
内容によっても変わる
会話の内容によって、使い分けているという声がほとんどでした。
「貴乃花ご夫妻」とは言いますが、「貴乃花ご夫婦」とは言いません。
「あら、貴乃花親方、ご夫婦でお出かけですか?」とは言いますが、
「あら、貴乃花親方、ご夫妻でお出かけですか?」とは言いません。
相手夫婦を指すからといって、必ずしも『夫妻』が使われるわけではありません。
は不自然な表現だと感じる人もいますので、使わない方が無難でしょう。
『夫妻』の方が丁寧な表現とはいえ、たとえ
と言ったとしてもマナー上問題はありませんのでご安心ください。
『夫妻』は品格のある表現
『夫妻』が品格のある表現と感じる方もいました。
「夫妻」のほうが改まった、品格のある表現です。他人さまカップルに対しては「〇〇さん(様)ご夫妻」とか使えば、全く失礼はないですよ。「ご夫婦でおいでください」より「ご夫妻でおいでください」の方が丁重です。逆に自分たちのことはへりくだって「私ども夫婦」というように「夫婦」を使い、「夫妻」は使いません。
『夫妻』の方が格が上なので、他人に対して使うということですね。
自分たち夫婦を指す場合は『夫婦』を使い、自分たちを下げることによって相手を立てる効果があります。
も決して間違いではありませんが、より丁寧に言いたい場合は
と伝えた方がいいでしょう。
『妻』と『婦』の意味を理解して使い分ける
『妻』と『婦』の意味を考えて、使い分けるという方もいました。
現在は「夫妻」と「夫婦」はどちらも男女の婚姻関係を表す同じ意味です
では「妻」と「婦」はどう違うかを考えましょう
「妻」は「夫」の対義語ですが、「婦」は「夫」の対義語ではありません
「婦」は家政婦、看護婦などに使い働く女性を表す文字で女がホウキで掃除する意味です
「妻」は富裕層などでは必ずしも働き手ではないので「婦」のような意味はありません
意味は同じでも、漢字ひとつひとつを見ると少しずつ違いが見えてきます。
最近では男女平等の考えが浸透し、夫と妻は平等であると考えられるようになってきました。
相手によっても使い分けるといいでしょう。
まとめ
『夫妻』と『夫婦』には、使い方や類語に微妙な違いがありました。
- 意味の違い
- 使い方の違い
- 類語の違い
- 英語表記は違いなし
意味はどちらも「結婚した男女」を指していますが、より丁寧に表現したい場合は『夫妻』を使いましょう。
使う相手や主語によって、使い分けると失敗しません。
『夫妻』と『夫婦』のちょっとした違いを知って、正しい日本語が使えるようになりましょう。
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