「夫が出て行ってしまった!戻ってきてほしいけど、どうすればいいの?」
「夫が出て行ったことは離婚の理由になる?」
「夫と離婚したくない!また一緒に暮らすためには何をすればいいの?」
上記のようなお悩みをお持ちではありませんか?
夫が出て行ってしまうと、自分や子供の生活がこれからどうなるか不安になりますよね。
自分の感情を整理しようとするだけでもご苦労をされていることでしょう。
夫が出て行ったために悩まれている方の中には、離婚されたい方もいれば、同居を再開されたい方もおられます。
そこで当記事では、夫が出て行ったことで生じる様々な悩みへの回答についてまとめました。
- 出て行った夫に戻ってきてもらうにはどうすればよいか
- 夫が出て行ったという理由で離婚はできるか
- 出て行った夫に慰謝料を払わせられるか
- 出て行った夫に妻子の生活費を払わせられるか
- 妻に離婚の意思がなく、同居を再開したい場合はどうすればよいか
当記事をご覧になれば、それぞれのケースについてどうすべきかを深く理解できるでしょう。
ぜひ最後までご覧ください。
夫が出て行ってしまい離婚の危機!戻ってきてもらうにはどうすればいいの?
夫が出て行ってしまった場合は、まず落ち着いて原因について考え、感情的にならずに話し合える状態にしていきましょう。
「どうせ戻ってもまた喧嘩になる」と思わせないことが大切です。
本項では、実際の事例についても紹介しつつ、夫が出て行ってしまった場合に妻として取るべき対応について、下記の内容で解説をしていきます。
- まずは夫が出て行った原因について考え、どう接するかべきかを決める
- しつこく夫に戻ってくるように連絡せず、いつでも帰ってこられる状態を作る
- 夫との話し合う時は感情的にならず、どうしても解決が無理なら離婚について考える
それぞれについて見ていきましょう。
夫が出て行ったことで悩む妻は実は多い! 様々な事例を紹介
夫が出て行ったことにより離婚の危機を経験する夫婦は実は多いです。
下記は、夫がどのようにして出て行ったかの実例になります。
- 夫から浮気相手と一緒になりたいと言われ、離婚届を出された
- 夫が小さい子供の面倒を見ないことに腹が立ち、「出て行け!」と言ってしまった
- 夫婦喧嘩が続いたことが原因で、夫が義父母の家に戻ったまま帰ってこない
- 怒った夫から「出て行け!」と言われた
- 夫が出て行く時に妻子の生活費は払わないと言われた
- 出て行った夫の弁護士から急に離婚についての連絡が来た
- 突然荷物をまとめ始め、出て行く理由を聞いても答えてくれない
多くの方が夫の理不尽とも言える言動に困惑し、傷ついていることが分かります。
それでは、夫が出て行った場合に、妻としてまず取るべき行動について見ていきましょう。
まずは夫が出て行った原因について考え、どう接するかべきかを決める
まずは落ち着いて、夫が出て行った原因が何だったかを考えることが大切です。
一般的に、夫が出て行く主な原因には下記があります。
- 会話がない、喧嘩が多い、セックスレスなどの理由で居心地が悪い
- 浮気相手がいる
- 妻に相談しづらい仕事やお金についてのことで悩んでいる
出て行く前に、夫の様子に普段と違うところはありましたか?
夫が出て行った原因について考え、どのようなコミュニケーションを取るべきかを決めましょう。
しつこい連絡は逆効果!いつでも帰ってこられる家庭環境にしておく
出て行った夫に頻繁に連絡をし過ぎると、かえってプレッシャーを感じさせて逆効果になります。
夫も内心では出て行ってしまったことに対して負い目を感じているからです。
そのため「今後について話し合いたいので戻ってきてほしい」と簡潔に伝えた方が良いでしょう。
感情的にならずに話し合い、どうしても無理なら離婚について検討する
いざ夫と話し合う時には、いつも通りの接し方で、落ち着いて夫の言い分を聞き、ご自身の考えを伝えてください。
カフェなどの、第三者の目がある場所で話し合うことで、落ち着いた態度を保てる場合があります。
夫が出て行ったという理由で離婚はできる?
家庭裁判所で、夫が夫婦のお互いに対する義務に違反していると判断すれば、夫が出て行ったという理由での離婚は可能です。
夫としての義務の放棄について、裁判所が注目するポイントを下記にまとめました。
- 夫が妻と同居し、生活を支える義務を守っていたか
- 単身赴任や親の介護、妻からのモラルハラスメントやDV、すでに夫婦関係が破綻しているといった事情があるか
次に、家庭裁判所がどのような基準で離婚について判断するかを解説いたします。
夫婦で同居・協力して生活する義務に夫が違反したと家庭裁判所が認めれば離婚できる
夫婦には3つのお互いに対する義務があります。
民法752条は、「夫婦は同居し、互に協力し扶助しなければならない。」と定めており、同居義務を定めています。
同居義務は、強行規定であり、この規定に反する夫婦間の契約は無効と考えられています。
もし家庭裁判所で、夫が夫婦の義務に違反していると認めれば、離婚を成立させることができるのです。
それぞれの義務について見ていきましょう。
同居義務とは?
同居義務とは、文字通り、夫婦が一緒に暮らす義務のことです。
夫が結婚後に正当な理由なく家を出て行き、一方的に同居を拒否することは、同居義務に違反していると判断される場合があります。
協力義務とは?
協力義務とは、夫婦がお互いに協力しあって生活する義務のことです。
しかし、同居義務と同様に、夫が協力義務を拒んでも法的な処罰の対象にはなりません。
扶養義務とは?
扶養義務とは、夫婦が経済的に結婚相手を養う義務のことです。
婚姻関係にある夫婦には「自分と同じ程度」の生活を相手に対して保証する義務があります。
夫としての義務に違反する可能性がある行動の例
正当な理由のない別居や、妻子の生活費を払わないことは、夫としての義務違反になります。
夫としての義務に意図的に違反をすることを、専門用語で「悪意の遺棄」と呼び、家庭裁判所が認める離婚原因となるのです。
夫としての義務違反(悪意の遺棄)になる行動について見ていきましょう。
正当な理由もなく別居をしている
夫が浮気相手の家や、実家から帰ってこない、または、一方的に一人暮らしを始めた場合など、妻の同意を得ずに別居をしている状態のことです。
また、夫が配偶者を追い出すことも、正当な理由のない別居に該当します。
同様に、配偶者を追い出すための、言葉や身体的な暴力も、夫としての義務違反です。
妻子の生活費を払わない
夫は婚姻関係にある配偶者に対して生活費を払う義務があります。
感情的になった夫が、妻子の生活費を払わないと言うケースは多いですが、これは夫としての義務違反です。
夫としての義務の違反にはならない行動の例
夫婦が合意した上での別居や、妻からのモラルハラスメント・DVが原因の別居の場合は、夫としての義務に違反する行動にはなりません。
家庭裁判所が夫の義務違反と見なさない事例について紹介します。
単身赴任や、親の介護をする必要がある場合
夫婦が合意した上で、仕事の事情による単身赴任や、親の介護のための別居をしている場合は、同居義務の違反にはなりません。
ただし、夫が単身赴任中に妻子へ生活費を送らない場合は、扶養義務違反です。
妻からのモラルハラスメントやDVが原因の場合
妻から夫へのモラルハラスメントや、DVが原因で別居になった場合は、同居義務への違反にはならない場合があります。
しかし、家庭裁判所に正当な別居の理由として認めさせるためには、夫は妻から精神的・肉体的な被害を受けた証拠を提示することが必要です。
夫婦関係がすでに破綻している場合
夫婦関係がすでに破綻しているため、結婚生活を見つめ直すなどの理由で、夫婦合意の上で別居した場合は、同居義務の違反にはなりません。
夫としての義務に違反したことに対して慰謝料を請求したい場合はどうすればいい?
夫としての義務に違反したことに対して慰謝料を支払わせたい場合は、違反の証拠が必要です。
また、夫への慰謝料を請求できる期間には限りがあるので注意しましょう。
本項では、夫に慰謝料を請求する際に知っておくべきことについて、下記の流れで紹介していきます。
- 夫への慰謝料請求の際に使える証拠の例
- 夫に慰謝料を請求できる期限は3年、または20年まで
- 慰謝料より生活費を支払ってもらった方が良い場合がある
それぞれについて見ていきましょう。
夫としての義務に違反があったことの証拠を残しておく
夫婦間のみで慰謝料について話し合う場合や、第三者を交えて裁判や調停を行う場合にも、夫の義務違反の証拠が必要です。
夫の義務違反の証拠になるものの例は下記になります。
- 出て行った夫が残した置き手紙
- 別居の開始日や、別居に妻の合意がないことが分かるメールや、SNSでのやり取りの履歴
- 異動後の住民票
- 夫と浮気相手との写真、メール履歴、録画、録音
- 夫からの暴力があったことを示す診断書、怪我の写真、録音、相談所などへの通院履歴
- 生活費が振り込まれていないことを示す振込口座の預金通帳
慰謝料を請求する前に証拠を準備しておきましょう。
夫に慰謝料を請求できる期間は 3年、または20年まで
夫に慰謝料を請求できる期間には下記の2種類があります。
- 被害者が加害者及び、加害者による損害を知った時から3年間
例):夫と浮気相手の不倫を知った日から3年間が慰謝料請求の対象期間。 - 不法行為があった時から20年間
例):夫の浮気と、浮気相手のことを妻がまだ知らない場合は、浮気があった日から20年間が慰謝料請求の対象期間。この20年の期間内に妻が浮気を知った場合、妻に浮気が発覚した日から3年間は慰謝料を請求する権利がある。
ご参照までに、民法724条が定める、慰謝料を請求する権利がある期間は下記の通りです。
(不法行為による損害賠償請求権の消滅時効)
第七百二十四条 不法行為による損害賠償の請求権は、次に掲げる場合には、時効によって消滅する。
一 被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使しないとき。
二 不法行為の時から二十年間行使しないとき。
出典:民法
すぐに離婚しないのであれば生活費を支払ってもらう方が現実的な場合もある
別居後すぐに離婚をする意思がない場合は、慰謝料よりも、生活費を毎月支払ってもらう方が現実的な場合があります。
なぜなら、慰謝料を支払わせるまでには時間と手間がかかる上、確実に慰謝料を受け取れる保証はないからです。
夫が出て行った場合に離婚が成立するまでの生活費は払ってもらえる?
夫には、別居期間中に離婚が成立、または、同居を再開するまで、妻子に生活費を払う義務があります。
婚姻費用分担請求
離婚に関する話し合いや、裁判所での手続を行っている間でも、法律上は夫婦であることに変わりはありませんし、夫婦にはお互いに生活を助け合う義務があります。仮に、別居中の相手が生活費を入れてくれないといった場合には、生活費をしっかり払ってもらう権利があるのです。そのようなときは、この「婚姻費用分担請求」の手段を考えましょう。婚姻費用とは
『婚姻費用』とは、「夫婦と未成熟の子」という家族が、その収入や財産、社会的地位に応じて、通常の社会生活を維持するために必要な生活費のことです。
具体的に生活費(婚姻費用)に該当するものは下記の通りです。
- 家族全員の生活費(食費、光熱費、被服費など)
- 居住費(家賃、固定資産税など)
- 子供の養育費、習い事の月謝、学費。
- 通院、入院などの医療費
- 常識的な範囲での交際費と娯楽費
本項では、夫からの生活費の支払いについて、よくある疑問への回答をまとめました。
・夫が生活費の支払いを拒否した場合はどうすればよいか?
夫婦の年収と子供の数に基づいた適正な金額を払ってもらえる
夫から配偶者への生活費の適正な金額は、夫婦の年収と子供の数に基づいて決められます。
夫の収入が妻より多い場合は、夫が義務者として、権利者である妻に対して生活費を支払わなければなりません。
生活費の金額を定める基準は、最高裁判所で公表している「婚姻費用算定表」です。
生活費の適正額の決め方について具体的に見ていきましょう。
まずは、裁判所のホームページにある婚姻費用算定表から、ご自身の家族構成に合うものを選んでください。
婚姻費用算定表の縦軸の「義務者の年収」が夫の年収、横軸の「権利者の年収」が妻の年収を意味します。
縦軸と横軸が表内で交差する位置が、適正とされる生活費の金額です。
ただし、子供が私立学校に通っている場合は、夫の収入と資産状況を考慮した上で、相当と考えられる金額を生活費に上乗せすることができます。
また、高額の医療費が必要な場合にも、生活費が増額される場合があるので、請求された方が良いでしょう。
夫が生活費の支払いを拒否した場合はどうすればよいか?
夫が生活費の支払いを拒否しているという証拠を残した上で、家庭裁判所に申し立て行います。
もし裁判中の生活費が心配なようであれば、家庭裁判所から夫に生活費の仮払いを命じてもらうことも可能です。
夫に生活費の支払いをいつ、どのように要求したかを記録しておく
いつ、どのような内容で、夫に対して生活費を払うように要求したかの記録があると、夫が配偶者への生活費支払い義務に違反していたという証拠になります。
郵便局の内容証明郵便は、夫にプレッシャーを与えるための有効な手段です。
内容証明郵便は、妻から受取人である夫へ送った文書の内容のコピーを、差出人である妻と、差出郵便局が保管します。
家庭裁判所に調停を申し立てる
生活費の支払い要求に夫が応じない場合は、家庭裁判所に調停を申し立てた方が良いでしょう。
なぜなら、家庭裁判所の調停員会が仲介に入ってくれることで、夫婦の話し合いをスムーズに進められるからです。
どうしても夫が支払いを拒否する場合は、調停が不成立となり、家庭裁判所で夫婦双方の事情と言い分を総合的に判断した上で、審判を行うことになります。
すぐに生活費が必要な場合は家庭裁判所の調停前に仮払いをしてもらえる
生活が苦しいため、家庭裁判所の調停や審判を待つ余裕がない場合には、生活費の仮払いを家庭裁判所から夫に命令してもらえる場合があります。
出て行った夫と離婚したくなく、一緒にまた暮らしたい場合はどうすればいいの?
夫からの離婚の要求に応じる必要はありません。
夫とまた一緒に暮らせるようになりたい場合は、家庭裁判所に調停を申し立てをしましょう。
本項では、望まない離婚を防ぐための方法と、家庭裁判所での調停について詳しく解説いたします。
妻の合意か家庭裁判所の決定がなければ夫は離婚できない
離婚を成立させるためには、原則として下記の条件のいずれかを満たすことが必要です。
- 離婚することについて、夫婦の話し合いによる合意があること
- 家庭裁判所が離婚を認めていること
いずれの条件も満たしていなければ離婚は成立しません。
万が一、夫が勝手に離婚届を出したとしても、役所に離婚届を受理しないように申し出れば、一方的な離婚を防ぐことができます。
夫とまた一緒に暮らしたい場合は家庭裁判所に同居の調停を申し立てる
家庭裁判所で夫婦関係を円満にするための調停を行うことが可能です。
調停委員が夫婦双方の話を聞き、離婚の回避と、同居の再開などについてアドバイスをすることを、専門用語で「夫婦関係調整調停(円満)」と呼びます。
「夫婦関係調整調停(円満)」を受けることのメリットをまとめました。
- 裁判官から法的なアドバイスをしてもらえる
- 調停委員が仲介してくれるので、相手に直接言いづらいことを伝えやすい
- 財産分与や慰謝料への未払いに対して、強制執行をしてもらえる場合がある
まとめ
夫が出て行ってしまった場合には、まず下記の項目をご理解された上で、どうしていくかについて決められると良いでしょう。
- 出て行った夫に戻ってきてもらうには、原因を考えた上で、今後について落ち着いて話し合える環境を作る
- 夫が妻に対する同居・協力・扶養義務に違反したと家庭裁判所が認めれば、離婚は可能で、慰謝料の請求もできる
- 別居中に離婚が成立、または、同居を再開することが決まるまでは、夫は妻子に生活費を支払う義務がある
- 妻の合意、または、家庭裁判所の決定がなければ、夫は離婚できない
- もう一度夫と一緒に暮らしたい場合は、家庭裁判所に同居再開の調停を申し立てられる
夫婦の妥協点を探りながら、納得のいく解決を目指していきましょう。
コメント