「”夫”という字について漢文ではどう訳すの?」
「”夫”という字について漢文ではどう読むの?」
「”夫”という字の詳細は文法的にどうなっているの?」
上記のようなお悩みはありませんか?
本記事では夫の漢文の読み方が分からない方に向けて下記内容を紹介しています。
・「それ」という読み方について
・「それ」以外の読み方について
・「夫」はいったい・そもそもという訳し方をする
・「夫」の文法的な役割
・「漢文」を勉強できるアプリの紹介
「それ」という読み方について
「夫」という字を漢文では、「夫レ」と書いて「そレ」と読みます。
この「夫レ(それ)」は、文法的に「発語詞」という役割を果たします。
例えば、「夫没者豈筍然哉。」という文を読む場合、書き下し文は「夫れ没する者は豈に筍も然くあらんや。」となり、この場合「夫」を「それ」と読むのです。
現代語訳は、「そもそも、潜る、というのはどうして簡単にできることだろうか。簡単ではない。」となります。
また、例えば、「夫有何加矣哉。」という文を読む場合、書き下し文は「夫れ何の加ふる(こと)有らんや。」となり、この場合も「夫」を「それ」と読むのです。
現代語訳は、「一体何を加えることがあるだろうか。加えることはない。」となります。
「それ」以外の読み方について
「夫」という字の漢文での読み方では、「そレ」以外に「か・かな」「かノ」という読み方があります。
この「か・かな」は、文法的に「詠嘆」という役割を果たし、「かノ」は、「指示代名詞」という役割を果たします。
例えば、「逝者如斯夫。不舎昼夜。」という文を読む場合、書き下し文は「逝く者は斯くの如きか。昼夜を舎かず。」となり、この場合「夫」を「か」と読みます。
現代語訳は、「流れ行くものはこの(川の)ようだなあ、昼夜関係なく流れてやむことがない。」となるのです。
また、例えば、「夫渡川者為誰。」という文を読む場合、書き下し文は「夫の川を渡る者は誰となす。」となり、この場合「夫」を「かノ」と読みます。
現代語訳は、「あの川を渡る者はだれか。」となるのです。
「夫」はいったい・そもそもという訳し方をする
「夫」という字を漢文では、「いったい」「そもそも」という訳し方をします。
この「いったい」「そもそも」は、後に続く肯定文や疑問文を強調するためのものになります。
例えば、「夫和歌者、託其根於心地、發其花於詞林者也。」という文を読む場合、書き下し文は「夫れ和歌は、其の根を心地に託し、其の花を詞林に発くものなり。」となります。
そして、「そもそも和歌というものは、その根源を心という地面に支えられ、言葉という林に開いた花である。」という訳し方をするのです。
また、例えば、「夫有何加矣哉。」という文を読む場合、書き下し文は「夫れ何の加ふる(こと)有らんや。」となります。
現代語訳は、「一体何を加えることがあるだろうか。加えることはない。」となるのです。
「夫」の文法的な役割
上記でも少し解説した「夫」という字の漢文での文法的な役割についての、もっと詳細的な内容をご紹介します。
具体的な文法的役割は、下記の通りです。
・詠嘆
・指示代名詞
発語詞
上記でも述べたように、「夫」は「発語詞」としての役割を果たします。
発語詞とは、漢文の文頭に置かれ、語気を強める役割をするものです。
発語詞には、「夫(それ)」「其(それ)」「厥(それ)」「蓋(これ、けだし)」などがあります。
「其れ(それ)」を使った例文では、「其恕乎。」という文を読む場合、書き下し文は「其れ恕や(か)。」となります。
現代語訳は、「それは他人への思いやりだろう。」となるのです。
「蓋(けだし)」を使った例文では、「蓋有不知而作之者。」という文を読む場合、書き下し文は「蓋(けだ)し知らずしてこれを作る者あらん。」となります。
現代語訳は、「十分な知識も無く、自説を創作する者も中にはいるようだ。」となるのです。
詠嘆
「夫」は「詠嘆」としての役割も果たします。
詠嘆には、「哉」「矣」「乎」「夫」「嗚呼」などがあります。
「哉」を使った例文では、「賢哉、回也。」という文を読む場合、書き下し文は「賢なるかな、回や。」となります。
現代語訳は、「賢いなあ、顔回は。」となるのです。
「乎」を使った例文では、「不亦君子乎。」という文を読む場合、書き下し文は「亦た君子ならずや。」となります。
現代語訳は、「なんと徳の備わった立派な人ではないか。」となるのです。
「夫」を使った例文では、「逝者如斯夫。」という文を読む場合、書き下し文は「逝く者は斯くの如きか。」となります。
現代語訳は、「流れ行くものはこの(川の)ようだなあ。」となるのです。
「嗚呼」を使った例文では、「嗚呼、天将棄予。」という文を読む場合、書き下し文は「嗚呼、天将に予(われ)を棄てんとす。」となります。
現代語訳は、「ああ、天が私を見捨てようとしている。」となるのです。
指示代名詞
「夫」は「指示代名詞」としての役割も果たします。
指示代名詞とは、名詞の上についてその名詞を指し示すものです。
指示代名詞には、「此」「是」「之」(これ・この・ここ・ここの)」「彼」「其」(あれ・あの・あそこ・あそこの)」などがあります。
「夫」を使った例文では、「夫渡川者為誰。」という文を読む場合、書き下し文は「夫の川を渡る者は誰となす。」となります。
現代語訳は、「あの川を渡る者はだれか。」となるのです。
「此」を使った例文では、「此其所以為子房歟。」という文を読む場合、書き下し文は「此れ其の子房為る所以なる歟。」となります。
現代語訳は、「これこそ(容貌が婦女子のように優しいこと)が、張良の張良たるゆえん(理由)ではないのか。」となるのです。
「其」を使って例文では、「其真無馬邪、其真不知馬也。」という文を読む場合、書き下し文は「其れ真に馬無きか、其れ真に馬を知らざるか。」となります。
現代語訳は、「それは本当に名馬はいないということなのだろうか、それとも本当に馬を見抜くことができないのだろうか。」となるのです。
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ここでは、「漢文」を勉強できるアプリの紹介をします。
具体的には、
・漢文単語基礎学習
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まとめ
当記事では、「夫」という字を漢文ではどう読むのか、どう訳すのかをご紹介しました。
当記事でご紹介した読み方は、以下の通りです。
・か・かな
・かの
また、当記事でご紹介した訳し方は、以下の通りです。
・詠嘆。感動を表す時に使う。
・指示代名詞。あれ、あそこの、あの等。
また、当記事でご紹介した「漢文」を勉強できるアプリは、以下の通りです。
・漢文単語基礎学習
・ロジカル記憶
皆さんは、「夫」という字を普段は「男性の配偶者」を意味する「おっと」と読み、日常的にもこの言葉を使用されているかと思います。
しかし、当記事で漢文での読み方と意味、使い方を理解して頂けると嬉しいです。
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