「夫が脳出血という理由で離婚はできる?」
「夫が脳出血で離婚した場合は財産分与できる?」
「夫が脳出血の場合、離婚した後も介護しなければいけないの?」
といったお悩みを抱えていませんか?
脳出血は命を落とすこともある、危険な病気です。
命が助かったとしても、半身麻痺などの後遺症が残ることも少なくありません。
当記事では
- 夫が脳出血という理由で離婚はできる?
- 夫が脳出血で離婚した場合も財産分与は可能!
- 夫が脳出血で離婚した後に介護義務はある?
といった内容を徹底解説していきます。
夫が脳出血になったことで、離婚を検討されている方はぜひ参考にしてください。
最後までお読みいただければ、夫が脳出血で離婚するかどうかの判断基準がきっと分かるはずです。
夫が脳出血という理由で離婚はできる?
脳出血は脳の中にある血管が破れてしまい、そこから出血が起こる病気のこと。
出血が起こると、そこから脳が破壊されてしまい、後遺症が残るケースも少なくありません。
半身麻痺などの後遺症が残ってしまうと、介護する妻にも大きな負担がかかります。
「離婚」を考えるのも無理はないでしょう。
夫が脳出血だという理由での離婚について、下記の内容を解説していきます。
- 協議離婚が難しい場合も
- 裁判になると法定離婚事由が必要
詳しく見ていきましょう。
協議離婚が難しい場合も
夫婦が離婚するには、まずお互いで話し合い、協議離婚を目指します。
協議離婚とは、夫婦間で離婚条件について話し合いをおこない、合意ができれば離婚が成立する、という方法です。
夫の同意を得られれば、どんな理由であっても離婚が可能です。
損傷した脳の部位によっては、コミュニケーションが取れなくなることもあるからです。
夫の意思を確認できなければ、協議離婚や離婚調停は成立しません。
裁判になると法定離婚事由が必要
協議離婚や離婚調停が成立しないとなると、裁判に移るのが一般的です。
裁判になった場合は、法定離婚事由が必要になります。
(裁判上の離婚)
第七百七十条 夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
一 配偶者に不貞な行為があったとき。
二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
脳出血を起こした夫の介護疲れという理由だけでは、裁判所に離婚を認めてもらうのは困難でしょう。
どうしても離婚したいのであれば、弁護士にまず相談してみるといいでしょう。
夫が脳出血で離婚した場合も財産分与は可能!
離婚する際は、財産を分け合う「財産分与」が可能です。
Q1 財産分与とはどのような制度ですか
(A) 離婚をした者の一方が他方に対して財産の分与を請求することができる制度です。
財産分与は,(1)夫婦が共同生活を送る中で形成した財産の公平な分配,(2)離婚後の生活保障,(3)離婚の原因を作ったことへの損害賠償の性質があると解されており,特に(1)が基本であると考えられています。
専業主婦であっても、共働きであっても、財産分与は2分の1ずつが基本。
夫婦どちらかの名義であっても、婚姻中に築かれた財産であれば財産分与の対象です。
基本の通り、財産を2分の1ずつ分け合うことになるでしょう。
ただし婚姻期間や夫婦の年齢などによって、財産分与の額は変わってきます。
詳しい額や割合が知りたい場合は、弁護士に相談してみましょう。
夫が脳出血で離婚した後に介護義務はある?
離婚したとしても、元妻ということで介護義務があるのではないかと心配ですよね。
民法によると、介護義務は下記の人に定められています。
(扶養義務者)第八百七十七条 直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある。
とはいえ、元夫との間に子供がいる場合は、直系血族となり介護義務が課されます。
夫が脳出血で離婚した場合の慰謝料は?
夫が脳出血で倒れると、妻には相当な負担がかかることでしょう。
心身ともに疲れ切ってしまい。慰謝料をもらいたいと思う人も。
夫が脳出血で離婚した場合の慰謝料について
- 介護で慰謝料請求はできない
- DVや不貞行為での慰謝料請求は可能
といった内容を解説していきます。
介護で慰謝料請求はできない
そもそも慰謝料とは精神的苦痛に対する賠償金です。
離婚の際の「慰謝料」とは、離婚によって被る精神的苦痛に対して支払われるお金のことです。すこし難しい表現ですが、「精神的苦痛を慰謝するための損害賠償である」ともいえます。
介護疲れも、確かに妻の精神面に大きな影響を与えますよね。
しかし慰謝料が請求できるのは、相手に不貞行為やDVなど不法行為があった場合のみ。
ただし養育費は請求が可能です。
養育費は子供の監護や教育のために必要な費用のこと。
たとえ脳出血であっても、父親である以上は子供を養育する義務があるからです。
しかし、状況によって請求できる金額が変わってきます。
DVや不貞行為での慰謝料請求は可能
夫が脳出血だという理由のみでの慰謝料請求は、まずできません。
とはいえ、夫のDVや不貞行為といった事実があった場合は別です。
DVや不貞行為を理由に、慰謝料請求が可能になります。
脳機能に障害が生じ、感情のコントロールが難しくなってしまうのです。
上記のような症状を「高次脳機能障害」といいます。
脳卒中や事故などが原因で生じる高次脳機能障害によって感情のコントロールが難しくなり、対人関係に支障が出て、家庭や職場で問題を抱えるケースが少なくありません。特に、激しい怒りがコントロールできない患者さんに対するリハビリテーションの開発は急務となっています。
また脳出血を起こす以前に、不貞行為があった場合も、慰謝料を請求できる可能性があります。
慰謝料を請求できるかどうかは、弁護士に相談してみるといいでしょう。
夫が脳出血で離婚するかどうかの判断基準
夫を支えたいという気持ちと、介護から解放されて自由になりたいという気持ちに揺れ動く方も少なくありません。
と思ってしまうことでしょう。
夫が脳出血で離婚するかどうかは、下記の基準を参考にしてみてください。
- 妻の疲労度
- 周りの協力の有無
- DVやモラハラがあるかどうか
それぞれの判断基準を詳しく見ていきましょう。
妻の疲労度
まずは「妻の疲労度」が挙げられます。
麻痺が残っている夫を介護しながら、仕事をして家計を支えていくのは大変なことです。
介護をする妻には心身ともに大きな負担がかかることでしょう。
疲れが限界を超えてしまうと
などといったことが起こるケースも。
疲労度やストレスが限界に達しそうな時は、別居や離婚を検討すべきでしょう。
周りの協力の有無
また「周りの協力の有無」も判断基準になります。
妻が一人で夫の介護をしていくのは大変です。
夫だけでなく、子供もいれば、さらに負担は大きくなるでしょう。
反対に周りから一切のサポートが得られなければ、妻は一人で苦しむことになるでしょう。
たとえ離婚したとしても、自治体の介護支援などを受けることは可能です。
と一人で抱え込まずに、辛い時は離婚も検討してみましょう。
DVやモラハラがあるかどうか
最後は「DVやモラハラがあるかどうか」です。
先述したように、脳出血を起こし、損傷された脳の部位によっては「高次脳機能障害」を発症します。
中でも感情をコントロールできなくなる社会行動障害が起こると、家庭に大きな影響が生じることも。
リハビリをしながら少しずつ回復させていくのですが、感情をコントロールできないため、すぐに怒ってしまいリハビリが進まないケースも。
DVやモラハラが続くと、妻の身にも危険が及びます。
こういった場合は、すぐにでも離れる方が賢明です。
まとめ
夫が脳出血を起こした場合、協議離婚は難しい可能性が高くなります。
意思の疎通が取れず、協議離婚が成立しない場合は、弁護士に相談してみましょう。
たとえ離婚したとしても、財産分与は可能です。
夫を「支えたい」という気持ちがありつつも、介護疲れから離婚を考えるのは無理もありません。
今後の生活に不安を感じる方も多いでしょう。
一人で悩んでいても解決しませんので、ぜひ弁護士に相談してみることをおすすめします。
DVやモラハラについては、下記の記事でも解説していますので、ぜひ参考にしてください。
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