「『夫妻』と『夫婦』の違いは何?」
「『夫妻』と『夫婦』の語源は?」
「『夫妻』と『夫婦』をどうやって使い分けたらいい?」
といったお悩みを抱えていませんか?
『夫妻』と『夫婦』は同じような意味を持つ単語です。
だからこそ、どのように使い分けたらいいのか分からないという方も多いのではないでしょうか?
当記事では
- 『夫妻』『夫婦』の意味や語源は?
- 『夫妻』と『夫婦』の違いは?
- 『夫婦』は熟語やことわざにも使われる!
といった内容を徹底解説していきます。
『夫妻』と『夫婦』の違いにお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。
最後までお読みいただければ『夫妻』と『夫婦』を正しく使い分けられるようになるはずです。
『夫妻』の意味や語源は?
まずは『夫妻』という言葉について、詳しく見ていきましょう。
- 語源
- 意味
それぞれを詳しく解説していきます。
語源
『夫妻』は『夫』と『妻』の漢字を合わせた言葉です。
昔は『おとめ(をとめ)』と読まれており、日本書紀が書かれた頃には既に登場していました。
おと‐め をと‥ 【夫妻】
〔名〕 (「おひとめ(夫婦)」の変化した語。あるいは音便の無表記形か) 夫と妻。夫婦(めおと)。おひとめ。*書紀(720)神代上(水戸本訓)「是に陰(め)陽(を)始めて合(みとのまぐはひ)して夫婦(ヲトメ)と為る」
男性を意味する「男人」と「妻」を合わせて「おひとめ(男人妻)」。
「ひ」の音が変化して「おとめ」になりました。
意味
『夫妻』の意味は、字の通り「婚姻関係にある男女」のこと。
『夫』と『妻』を対で表現する言葉です。
中国語でも『夫妻』という言葉がありますが、日本語同様『夫』と『妻』を表す言葉です。
夫妻 fūqī
名詞 〔‘对’+〕夫と妻,夫妻.
用例
夫妻俩=夫婦2人.
夫妻分居=夫婦が別々に住む(時に勤務の都合で夫婦別居することを指す).
露水夫妻((成語))=(正式に結婚をしないで)一時的に同棲している男女.
『夫婦』の意味や語源は?
次に『夫婦』という言葉についても、詳しく見ていきましょう。
- 語源
- 意味
『夫妻』と同じく、上記の内容を解説していきます。
語源
『夫婦』の語源は、古くからある『めおと』という言葉です。
今でも『夫婦』を『めおと』という読み方は存在しています。
とはいえ『夫』は『め』とは読みませんし、同様に『婦』も『おと』とは読みません。
『めおと』と読むのは熟字訓といわれる読み方です。
じゅくじ‐くん【熟字訓】
2字以上の漢字からなる熟字を訓読みすること。
もともと『めおと』は『妻夫』という漢字で表していました。
意味
『夫婦』の意味は、婚姻関係にある男女のことです。
『夫妻』とまったく同じ意味になりますね。
ふう‐ふ【夫婦】 の解説
婚姻関係にある男女の一組。夫と妻。めおと。
『夫婦』の『婦』という言葉は『妻』と同じ意味です。
しかし『婦』には「家事に従事する女」という意味合いも。
〖婦〗 (婦) フ おんな
1.
家事に従事する女。つれあいのある女。つま。
「婦徳・婦道・新婦・夫婦(ふうふ)・主婦・貞婦・毒婦・寡婦・節婦・賢婦・農婦・妊婦・烈婦・情婦・一夫一婦」
2.
成人に達した女子。
「婦女・婦人・妖婦(ようふ)・裸婦・看護婦・家政婦・派出婦」
昔は女性が家で家事をするのが当たりまえだったので『婦』の字が用いられるようになったのでしょう。
現代では共働きの家庭も増え、女性が家事をするものという常識は廃れつつあります。
『夫妻』と『夫婦』の違いは?
『夫妻』と『夫婦』の意味は同じであることが分かりました。
大きな違いとして、下記のポイントを詳しく見ていきましょう。
- 使い方の違い
- 『夫婦』の類語は多い
使い方の違い
一番大きなのは「使い方の違い」です。
『夫妻』と『夫婦』では、使う対象が異なります。
まず『夫妻』ですが、自分たちの関係には使えず、他人に対してのみ使うことが可能です。
反対に『夫婦』は自分に対しても他人に対しても使える表現。
といった使い方をします。
なぜ使う相手が違うかというと『夫婦』よりも『夫妻』の方がより丁寧な表現だからです。
そのため、自分たちに対しては『夫妻』という使い方はしません。
また仲の良い夫婦に対して『夫妻』を使うと堅苦しい印象を与えてしまうでしょう。
『夫婦』の類語は多い
『夫妻』と『夫婦』では『類語』にも違いがあります。
類語は意味が似ている違う言葉のことを指します。
類語辞典を見ると『夫妻』と『夫婦』の類語は下記の通りです。
夫妻
類語
夫と妻・妹背・妻夫・夫婦関係・夫婦・女夫・伉儷
『妹背(いもせ)』や『伉儷(こうれい)』も夫婦や夫婦仲を指している単語です。
夫婦
結婚している人:夫婦
互いに結婚している2人:夫と妻・妹背・妻夫・夫婦関係・夫妻・女夫・伉儷
一緒に住んでいるペア:カップル。・番・アベック・番い・ペヤ・アヴェック・ペア・妻夫・好一対・女夫・ペアー
互いに結びついたペア:カップル・二人組・ドゥオ・アベック・番い・一対・デュオ・ペヤ・アヴェック・ペア・妻夫・女夫・ペアー
『夫妻』よりも『夫婦』の方が類語の種類が多いことが分かるでしょう。
『夫婦』は熟語やことわざにも使われる!
『夫婦』という言葉は熟語やことわざにも使われます。
一方で『夫妻』は熟語やことわざには使われていません。
『夫婦』を」使った熟語やことわざの一例は下記の通りです。
熟語やことわざだけでなく「夫婦同姓規定」「夫婦財産制」など、法律用語にも使われます。
『夫妻』『夫婦』の使い分けに迷う人たちの声
『夫妻』と『夫婦』は意味が同じなので、使い分けに迷う人は少なくありません。
他の人はどのように使い分けているのでしょうか?
ネット上では
- 相手によって使い分ける
- より丁寧に言いたい場合は『夫妻』
- 手紙に書く際に迷う
といった声が寄せられていました。
それぞれの声を詳しく見ていきましょう。
相手によって使い分ける
大きな違いとして「使う相手」によって使い分けているという意見が多く寄せられていました。
意味は同じです。ただ使用方法が違います。
夫婦=自分達を含めたすべての人が利用できる。
夫妻=自分から見て他人に対してのみ使う。
他人に対しては夫婦も夫妻も使えますが、夫妻は夫婦より改まった言い方であることから、上司・先生など敬意を払わなくてはならない相手には「○○夫妻」「■■ご夫妻」と敬いを込めた言い方を推奨します。
『夫妻』の方が改まった表現なので、目上の人や上司に対して使うのが一般的です。
基本的に『夫妻』は名詞と組み合わせて用いられます。
たとえ目上の人であっても
とは言わずに
というのが自然な使い方です。
より丁寧に言いたい場合は『夫妻』
より丁寧に表現したい場合は『夫婦』ではなく『夫妻』を使います。
一般には「夫妻」の方が丁寧な言い方でしょう。
その証拠に「天皇ご夫妻」とは言っても、「天皇ご夫婦」とは言いませんよね。
或いは、結婚式のときなども、「媒酌人は○○様ご夫妻でございます」というのが普通です。
一方で、あまり良くない表現のときは、例えば、「夫婦喧嘩」や「夫婦仲が悪い」と言っても、「夫妻喧嘩」「夫妻仲が悪い」とは言いません。
「ご夫妻」という言い方でもあまり問題はないとは思いますが、「ご夫妻」の方がより無難なと思います。
相手に対してどちらの表現を使ったらいいか迷う場合には『夫妻』を使うのが無難でしょう。
『ご』を付けて『ご夫妻』と表現すると、より丁寧な表現になります。
『夫婦』を使う場合であっても『ご』を付けることで、丁寧な表現に変換可能。
などと使うと、失礼のない表現ができるでしょう。
手紙に書く際に迷う
口頭ではなく、手紙の場合は余計に悩んでしまうという人も少なくありません。
どういう場面で使うかによって違うのかもしれませんが、ご本人に出す手紙に書く場合は○○様ご夫妻でしょうか?○○ご夫妻様でしょうか?
どちらが正式な書き方なのでしょうか?
言葉にすると、どちらも正しい表現に聞こえるので、どちらが正しいのか迷ってしまいますよね。
名前と『夫妻』を併用する場合、正しくは『〇〇様ご夫妻』です。
『〇〇様ご夫妻』にすることで、二重敬語を避けることができますので覚えておきましょう。
まとめ
『夫妻』も『夫婦』も婚姻関係にある夫婦を指す、同じ意味の表現です。
より丁寧に表現したい場合は『夫婦』より『夫妻』を使いましょう。
また『夫妻』は他人に対してのみ使うことができ、自分たちには使えません。
『夫妻』を英語で表現する方法は下記の記事でも紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
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