「離婚しても年金がもらえるって聞いたことがあるけど、本当?」
「長年我慢したけど、やっぱり離婚したい!夫の年金ってもらえるの?」
「夫の年金ももらえるのであれば、離婚しても生活できそうって思うけど、考えが甘いのかな?」
上記のように思っていませんか。
2007年4月に年金分割という制度が制定されました。
これにより、離婚したくてもできなった人たちが離婚に踏み切りやすくなったという側面があります。
しかし果たして本当に離婚後の生活が、夫の年金を分割できるからといって安定したものになるのかと疑問に思うことでしょう。
そこで当記事では年金分割に焦点をあて、離婚後の生活がどうなるのかを解説していきます。
- 離婚しても年金はもらえるの?
- 年金分割はメリットばかりではない!リスクを紹介
- 離婚後の生活の不安を解消するために、離婚前にできること
もし離婚したいけど、夫の年金分割で生活ができるのか不安に思っているのであれば、最後までご覧ください。
最後までご覧いただいた場合、年金分割の仕組みと離婚後の生活が具体的に見通せるようになることでしょう。
離婚しても年金はもらえるの?
離婚したいと思っていてもなかなか踏み切れない理由に、離婚後の生活の不安がありますよね。
しかし実は、
夫の年金がもらえるのであれば、離婚も視野にいれもいいかも……。
と思う人も多いことでしょう。
そこでこの項目では離婚後に夫の年金をもらえる仕組みについて詳しく解説していきます。
- 年金分割で夫の年金をもらうことが可能
- 夫の合意がもらえない場合は家庭裁判所に指示を仰ぐ
- 年金分割で支給される金額を知る方法
それぞれについて詳しくみていきましょう。
年金分割で夫の年金をもらうことが可能
離婚したくても踏み切れない理由に、離婚後の生活の不安があることでしょう。
しかし離婚したとしても、夫の年金をもらえる仕組みがあります。
それが2007年に制定された年金分割です。
と思うことでしょう。
そこで年金分割について詳しく解説していきます。
- 年金分割とは?
- 年金の分割方法①:合意分割
- 年金の分割方法②:3号分割
それぞれについて詳しくみていきましょう。
年金分割とは?
まず年金分割とは、
婚姻中の厚生年金を離婚時に夫婦で分割する制度のこと
「ベリーベスト法律事務所」より引用
です。
ポイントは、
- 婚姻期間中に支払った金額で計算されること
- 分割対象が厚生年金のみであるということ
そのため安易に年金分割で、夫の年金がもらえるから離婚しても生活は問題ない!と思ってはいけません。
また年金分割には次のふたつの方法があります。
- 合意分割
- 3号分割
以下の項目で詳しく解説していきます。
年金の分割方法①:合意分割
年金の分割方法として、合意分割というものがあります。
合意分割とは、
結婚していた期間に応じて、その期間の厚生年金の標準報酬を最大2分の1まで分割できる制度です。
「Lega-Life Lab.」より引用
注意点としては、
2007年4月1日以降に離婚した夫婦に適用される制度ですので、それ以前の離婚である場合にはこの制度は適用外
「Lega-Life Lab.」より引用
になるということ。
合意分割によって、年金の分割を受ける場合は以下の条件に当てはまらなければいけません。
- 婚姻期間中の厚生年金記録(標準報酬月額・標準賞与額)があること。
- 当事者双方の合意または裁判手続により按分割合を定めたこと。
- 請求期限(原則、離婚等をした日の翌日から起算して2年以内)を経過していないこと。
「日本年金機構」より引用
基本的に合意分割は、双方の同意により年金の分割の割合が決まります。
年金の分割方法②:3号分割
年金分割の方法としては、3号分割というものもあります。
ただしこれは
です。
と思いますよね。
3号被保険者とは、簡単にいってしまうと扶養に入っている者のことです。
専業主婦などが該当します。
3号分割とは、
3号被保険者であった妻や夫から請求することで、2008年4月1日以後の婚姻期間中の相手方の保険料納付記録を2分の1ずつ分割できる制度です。
「Lega-Life Lab.」より引用
合意分割との大きな違いは、
離婚した元配偶者との合意などは必要なく、第3号被保険者が単独で請求できるもの
「Lega-Life Lab.」より引用
という点です。
3号分割の条件としては、
- 婚姻期間中に平成20年4月1日以後の国民年金の第3号被保険者期間中の厚生年金記録(標準報酬月額・標準賞与額)があること。
- 請求期限(原則、離婚等をした日の翌日から起算して2年以内)を経過していないこと。
「日本年金機構」より引用
ただし自動的に年金の分割ができるわけではなく、期限内に手続きをする必要があります。
夫の合意がもらえない場合は家庭裁判所に指示を仰ぐ
年金分割という制度によって、離婚後も夫の年金の一部をもらうことが可能になりました。
しかし、3号被保険者ではない場合、夫の同意が必要となります。
という場合もあるでしょう。
その場合は諦めなけらばいけないのかというと、そうではありません。
家庭裁判所に指示を仰ぐことで、按分割合を定めることができます。
年金分割自体の同意だけでなく、割合について揉めることもあるでしょう。
すぐに諦めるのではなく、家庭裁判所の指示を仰いでみてください。
年金分割で支給される金額を知る方法
年金分割によって、離婚後も夫の年金の一部をもらうことができるといっても、実際にどの程度の金額が支給されるのか、気になりますよね。
もちろん、勤続年数や婚姻期間、年収によっても変わっていくので、一概に値段を示すことはできません。
しかし分割後の支給金額を知る方法はあります。
それは
することです。
この請求をしても、夫に知られる心配はありません。
また請求できるのは、分割後の年金見込みがわかる50歳以上からです。
ちなみに、
年金分割によってもらえる金額の平均額は3万円
意外ともらえる金額は少ないと感じる人が多いことでしょう。
離婚しても年金分割で夫の年金をもらえるから大丈夫と安易に考えてはいけないということかもしれません。
【離婚したい】年金分割はメリットばかりではない!リスクを紹介
離婚したい妻にとって、離婚後も夫の年金を分割してもらえるというのは嬉しい制度ですよね。
しかしだからといって安易に離婚してしまうと後悔するかもしれません。
なぜなら、年金分割にはリスクもあるからです。
この項目では、年金分割のリスクについて解説していきます。
- 年金分割でもらえるのは厚生年金分だけ
- 請求期限は離婚から2年以内
- 離婚したら遺族年金はもらえない
それぞれについて詳しくみていきましょう。
年金分割でもらえるのは厚生年金分だけ
まず年金分割においての注意点は、分割対象が厚生年金分だけということです。
たとえば、夫が会社員の場合、
- 国民年金
- 厚生年金
の2種類に加入しています。
そしてこの2種類の年金を支給されることになるのです。
しかし
そのため自営業などを営んでおり、厚生年金に加入していない場合は対象になりません。
国民年金は、国民全員が20歳になると同時に加入しており、全員がもらえるものだからです。
また、
年金分割での対象期間は、婚姻期間中に限ります。
たとえば、
- 夫が20歳から厚生年金に加入。
- 夫が35歳の時に結婚、60歳で離婚。
の場合、あくまでも婚姻期間中が対象になるので25年間に支払った厚生年金が対象になるこということです。
そのため、思っていたよりも年金分割でもらえる金額が少なくなってしまうのでしょう。
請求期限は離婚から2年以内
年金分割は自動的におこなわれる制度ではありません。
請求をする必要があります。
そして請求期限は離婚から2年以内です。
離婚から5年近く経っている私は該当しないのね。
あとから請求できるからとは思わず、年金分割を検討しているのであれば、早めに準備をしておきましょう。
請求期限である2年を過ぎてしまうと、年金分割はできなくなってしまいます。
離婚したら遺族年金はもらえない
婚姻関係が継続中に、夫が亡くなった場合、通常であれば配偶者には遺族厚生年金が支給されます。
しかし離婚すると、この遺族厚生年金を受け取る資格がなくなってしまうのです。
そのため、当然離婚後に夫が亡くなったとしても、遺族年金はもらえません。
確かに、年金分割を請求した場合、たとえ元夫がその後死去したとしても分割で決まった金額が支給されます。
それならば問題はないと思うことでしょう。
しかしよく考えてみてください。
です。
年金分割で夫の年金がもらえるから離婚しても生活は大丈夫と安易に考えるのではなく、リスクについてもしっかり把握しておきましょう。
【離婚したい!】年金だけでは離婚後の生活は不安!?離婚前にできること5選
長年離婚したいと思っていても、離婚に踏み切れない理由として、離婚後の生活への不安があります。
年金分割で生活は何とかなると思ってたけど、実際は無理そうだし……。
どうしたらいいの?
勢いだけで離婚してしまい、その後生活が成り立たなくなってしまったら目も当てられません。
そこで離婚前にできることについて解説していきます。
- 離婚後の生活をシミュレーション
- 離婚後に頼る先を決めておく
- 離婚後の働き先を決めておく
- 資産運用の勉強をしておく
- そもそも離婚しない
それぞれについて詳しくみていきましょう。
離婚後の生活をシミュレーション
離婚前にすべき大切なこととして、離婚後の生活のシミュレーションをすべきです。
それも具体的に項目をシミュレーションをしていきましょう。
たとえば、
- 生活にかかる金額(食費や光熱費など)
- 夫から年金分割でもらえる金額
- 自分の年金額
- 収入源
- 緊急連絡先
など。
お金の面だけでなく、いざというときに連絡をとれる相手も決めておくべきです。
また離婚後は、住まいが変わる人も多いことでしょう。
その場合は住まいから探さなければいけません。
当然、住居費もかかってきます。
引っ越し代も捻出しないといけないのね。
生活するために、家具・家電も必要だし。
具体的に離婚後の生活をシミュレーションすることで、離婚後にしなければいけないことや、かかる金額の数字がみえてくることでしょう。
そして具体的にわかることにより、勢いで今離婚して大丈夫なのか、大丈夫でないのかもわかります。
だれもが離婚後、生活苦にはなりたくありません。
離婚後の人生を幸先よくスタートするためにも、まずは離婚後の生活を具体的にシミュレーションしてみましょう。
離婚後に頼る先を決めておく
離婚後に頼る先を決めておくことも大切です。
と思うかもしれません。
しかし1人暮らしだからこそ、いざというときの連絡先を決めておく必要があります。
近年では孤独死が問題になっており、いざ何かあったときのためにも、すぐ連絡ができる相手をみつけておきましょう。
離婚後の働き先を探しておく
離婚後の働き先を確保しておくことも大切です。
なぜなら
1人なのだから、そんなにお金はかからないと甘く考えてはいけません。
まずは具体的に離婚後にかかるお金について、シミュレーションしてみましょう。(「離婚後の生活をシミュレーション」を参照。)
きっと思っている以上にお金がかかるはずです。
はっきり言ってしまえば、
そのため収入源を見つけておく必要があります。
すでに働いている人は継続を、働いていない人は働き先を離婚前に確保しておいたほうがいいでしょう。
資産運用の勉強をしておく
離婚前に資産運用の勉強をしておいたほうがいいでしょう。
と思っているかもしれません。
しかしそんなことはなく、離婚後の生活を余裕をもってスタートするためにもはじめてみて損はないです。
また近年では、
- NISA
- iDeCo
といった、国が推奨している資産運用法があります。
国が推奨しているものですので、利率自体は高くありませんが、損もしずらいです。
こういったものをうまく活用することにより、お金を増やしておくと心の余裕にも繋がりますし、いざというときの助けにもなります。
そもそも離婚をしない
そもそも離婚をしないことを選択にいれてみましょう。
と思いますよね。
しかしよく考えてみてください。
- 年金分割では離婚後の生活費としては全然足りない
- 1人暮らしはお金がかかる
ということがわかったはずです。
また離婚後の年金分割が視野に入るぐらいには、お互いいい年齢になっているということでしょう。
それならば、お互いいい距離感を保つということも選択肢のひとつです。
もちろん
- DV
- モラハラ
などが原因の場合は別になります。
確かに離婚は大変だし、お互い干渉せず好きなことをする老後もいいわね。
今一度離婚について真剣に考えてっみましょう。
まとめ
離婚したいと思っていてもなかなか踏み切れない理由として、離婚後の生活の不安がありますよね。
しかし
年金分割の方法としては、
- 合意分割
- 3号分割
があります。
ただし年金分割で注意したい点は、
- 婚姻期間中に支払った金額で計算されること
- 分割対象が厚生年金のみであるということ
です。
そのため、年金分割でもらえる平均金額は3万円程度になってしまいます。
また年金分割のリスクとしては、
- 年金分割でもらえるのは厚生年金分だけ
- 請求期限は離婚から2年以内
- 離婚したら遺族年金はもらえない
です。
このことから年金分割があるから、離婚しても生活は大丈夫と安易には言えないことがわかります。
離婚後に生活苦にならないためにも、あらゆることを視野にいれ、現実的なシミュレーションをすることで大切です。
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