「突然夫が病気で働けなくなったらどうしよう・・・」と思われることはありませんか?
夫の身体は心配だけれど、収入面やこれからの生活に対する不安も大きいですよね。
不慮の事故に備えるためにも、さまざまな公的支援や保険を活用することが重要です。
そこで、当記事では慌てないための備えとして、知っておくべきことや様々な制度を解説しました。
- 夫が働けなくなった時に活用できる公的支援
- 医療費や税金などの支出を抑える方法
- 生命保険で加入できる補償の種類
この記事を参考に、不慮の事態に遭遇しても損失を最小限に抑えられるようにしておきましょう。
夫が病気で働けなくなった時は公的支援を活用しよう
夫の病気・怪我休業中に利用できる制度「傷病手当」
健康保険組合に加入している方が病気休業中の生活を保障するための制度です。
病気や怪我のために会社を休み、給料が減ったり、なくなったりした場合に支給されます。
ただし、任意継続の方は支給されません。
傷病手当を受けられる条件
会社を休んだ日が連続して3日間あったうえで、4日目以降で休んだ日数分が支給されます。
支給される金額と期間
支給される1日当たりの金額の算出方法は下記です。
- 1日当たりの支給額(報酬日額):標準報酬月額÷30日×2/3
- 支給期間される期間は最初の3日(待機期間)を除き、4日目から支給されます。
- 支給を開始した日から通算して最長1年6カ月となります。
申請手続きについては、加入している健康保険組合などの担当窓口で確認してください。
労災で働けなくなった時に利用できる「休業補償」
仕事中に病気になったり怪我を負ったりし、会社を休むことになった場合の補償として、労災保険から休業補償の支給を受け取ることができる可能性があります。
休業補償を受けられる条件
病気や怪我をしたからと言ってすぐに支給されることはありません。
支給される金額と期間
給付される1日当たりの金額の算出方法は下記です。
- 給付基礎日額:直前3カ月の支給金額÷90日(3カ月の暦日数)
- 1日当たりの給付額:給付基礎日額×80%(保険給付60%+特別支給金20%)
期間については上限はありません。しかし、病気や怪我が治った場合には、たとえ休業していたとしても支給はストップします。
申請先は管轄の労働基準監督署です。
病気・怪我で仕事や生活が制限されたら「障害年金」を活用
障害年金とは、病気や怪我で仕事や生活などが制限されるようになった場合に受け取ることが出来る年金です。
障害年金には「障害基礎年金」と「障害厚生年金」があります。
障害基礎年金を受けられる条件及び年金額
国民年金に加入している間に初診日(障害の原因となった病気や怪我について、初めて医師の診察を受けた日)のある病気や怪我で、法令に定められた障害(障害等級表の1級または2級)の状態にあるときに支給されます。
年金額は下記のとおりです。
障害等級と子のあるなしで決定されます。
1級:972,250円+子の加算額
2級:777,800円+子の加算額
子の加算額:2人まで 1人につき223,800円
3人目以降 1人につき74,600円出典:日本年金機構 障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額
この場合の子とは、18歳になった後の3月31日までの子、または20歳未満で障害等級1級または2級の状態にある子です。
障害厚生年金を受けられる条件及び年金額
厚生年金に加入している間に初診日のある病気や怪我で障害基礎年金の1級または2級に該当する障害の状態になった時は、障害基礎年金に上乗せして障害厚生年金を受け取ることができます。
また、障害の状態が2級に該当しない軽度の障害のときは3級の障害厚生年金が支給されます。
年金額は下記の通りです。
1級:報酬比例の年金額×1.25+配偶者の加入年金額(223,800円)
2級:報酬比例の年金額+配偶者の加入年金額(223,800円)
3級:報酬比例の年金額 最低保障額 583,400円
出典:日本年金機構 障害厚生年金の受給要件・請求時期・年金額
どちらの手続きについても年金事務所および年金センターにて行えます。まずは相談をしてみてください。
重度の障害で労働できない場合に使える「特別障害者年金」
特別障害者年金とは、病気や怪我で日常生活において常時特別の介護を必要とする特別障害者に対して負担の軽減の手当として支給される年金です。
支給を受けられる条件
身体または精神に重度の障害があり、日常生活において特別の介護を必要とする状態にある在宅者に支給されます。
支給金額と時期
支給月額:27,300円
支給時期:原則として毎年2月、5月、8月、11月にそれぞれの前月分まで
病気が原因で退職した場合に受け取れる「失業保険」
失業保険とは、会社を退職し失業中の生活を心配しないで、新しい仕事を探すために支給されるものです。
ですから、病気や怪我が理由で仕事に就くことが出来ない場合は支給されません。
受給の要件
仕事を辞めてから、ハローワークにて求職の申し込みを行い、いつでも仕事に就ける状態にある場合です。
申請には離職票が必要となりますので、会社を退職する場合は必ず受け取ってください。
支給額と受給期間
1日当たりの支給額の算出方法は下記です。
- 基本手当日額:離職した日の直前6カ月の合計÷180日×50~60%
- 賃金の低い人ほど高い率となり、基本手当日額は年齢により上限が定められています。
- 受給期間は原則として、離職した日の翌日より1年間です。
- 離職した理由や年齢によって支給される日数が異なります。
離職した場合は、早急にハローワークで申請の手続きを行ってください。
夫の医療費に関連する制度で支出を減らそう
高額医療費制度で自己負担額の払い戻しが受けられる
病気や怪我の治療費や入院で高額な医療費がかかってくることがあります。
収入が減っている上に高額な医療費は家計への負担はかなり大きいです。
そこで高額医療費制度を活用し、医療費の一部を払い戻してもらいましょう。
高額医療費とは、同一月(1日から末日まで)にかかった医療費の自己負担分が高額になった場合に、一定の金額を越えた分が、払い戻される制度です。
申請は加入している保険組合もしくは国民健康保険になりますので、申請方法や必要書類についてはそれぞれの健康保険組合等に相談してみてください。
確定申告で医療費控除を受ければ支出が減らせる
1年間(1月1日から12月31日まで)の医療費を確定申告で所得控除を受けることができます。
家族全員の医療費が対象となりますので、夫の治療費だけでなく子供の医療費や薬局やドラッグストアで購入した医薬品も控除の対象です。
病院に限らず、医療費・医薬品代の領収書は捨てずに置いておいてください。
ただし、予防接種や検診は対象外となります。
医療費控除の金額の計算方法は下記です。(最高額200万円)
支払った金額-保険などで補填された金額※-10万円=控除対象金額
※保険などで補填された金額とは、健康保険組合等で払い戻された医療費や生命保険などからの保険金の事です。
保険に加入して病気で働けなくなったときの負担を減らそう
民間の保険に加入している方は多いと思いますが、担当者さんに勧められるまま契約していることもあるかもしれません。
ただ、保険の契約書をみても正直自分がどういった保障になっているのかわからないこともあります。
夫や家族にとってどういった保障がよいかはそれぞれです。
入院すると定額で受け取れる「入院一時金」
入院の日数に関係なく一時金が受け取れるものです。
保険会社や保険商品によって条件や金額の給付タイプは異なります。
入院一時金は高額医療費の負担以外に、退院後の通院の治療費や交通費など制限がなく使用できるところが魅力です。
まとまったお金が受け取れるので、安心して生活や療養をおくることができるところがよいところです。
入院日数に応じて受け取れる「入院給付金」
入院給付金とは、入院した日数によって給付される保険金です。
こちらも保険会社や商品により1日の給付額や日数は異なります。
入院1日目から給付されるものや入院した日から5日目からの給付など様々です。
商品によっては退院後に通院にて治療を継続する場合に受け取れる、通院給付金があるものもあります。
働けなくなったら毎月給付金が受け取れる「就業不能保険」
就業不能保険とは、病気や怪我で長期の入院や自宅療養によって働けない(就業不能)状態の時の収入減少時に受け取れる保険です。
保険会社や商品によって受け取れる月額や期間、支払対象外期間に違いがあります。
働けなくなったときの収入補償「所得補償保険」
病気や怪我で収入が減った場合に、所得の一部をカバーするための保険です。
就業不能保険と違い、損害保険会社が取り扱っている商品になります。
生命保険は保障の種類が多く、わかりづらいです。
保険会社によっても様々で、今入っている保険で良いかどうかも不安になります。
最近ではさまざまな保険会社の商品を比較して、自分たちにあったものを相談できる窓口がありますので、そういったところを活用してみると良いかもしれません。
まとめ|夫が病気で働けなくなったときには事前の準備が大切
実際に働けなくなって収入がなくなってしまうと一気に生活が苦しくなってしまいます。
そんな危機的状況はいつでも誰にでも起こり得ることなのです。
助けてくれる公的制度や高額医療費の払い戻し請求などは自分自身で申請しなければいけないものが多く、知らなければ使えないこともあります。
知っていて損はありませんから、この機会に確認しておきましょう。
公的支援としては下記があります。
- 傷病手当
- 休業補償
- 障害年金
- 特別障害者年金
- 失業保険
かかった医療費を軽減する方法としては下記です。
- 高額医療費制度
- 医療費控除
今から備えられる生命保険の補償については自分たちにあった補償を考えてください。
- 入院一時金
- 入院給付金
- 就業不能保険
- 所得補償保険
病気が長引きどうしようもなくなってしまったら自治体の担当課に相談することも出来ますよ。
今はまだ元気だから大丈夫ではなく、いざという時のために一度見直してみてはいかがでしょうか?
慌てずしっかりと家族を支える力になってくれることと思います。
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