「離婚したいけれど別居は必要?」
「どんなときに別居したほうがいい?」
「離婚前の別居中に注意することってある?」
上記のような悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。
離婚する前にまずは別居したほうがいいのか、別居したほうがいいのはどんなときなのかわかりませんよね。
別居中にやっていけないことってある?生活費ってどうすればいいの?など不安な気持ちよくわかります。
そこで当記事では下記内容についてまとめました。
- 離婚するのに別居は必要なのか
- 別居したほうがいいケース
- 別居中にやってはいけないこと
別居に必要な準備と別居中の生活費についても解説していますので、ぜひ参考にしてください。
離婚したいときに別居は必要か?
離婚したいと思う相手と同居していくのは苦痛だという方も多く離婚前に別居する夫婦は多いですが、離婚前に必ず別居しないといけないわけではありません。
別居自体が離婚事由になるわけではなく、長期的に別居していることから「婚姻関係が破綻している」とみなされて離婚事由になります。
長期的というのも法律で何年と決まっているわけではなく、夫婦の年齢や同居していた年数などに応じて離婚が認められる別居期間は異なります。
離婚前に別居したほうがいいケース
離婚には時間がかかることも多いので、離婚するまでに別居を検討したほうがよいケースもあります。
- 離婚の話し合いに応じない
- 自分や子どもがDVなどの被害を受けている
- 一緒にいることが苦痛
一緒にいても問題が解決する可能性が低い、または命の危険を感じるような場合には別居をおすすめします。
離婚前に別居したほうがいいケースについて詳しくみていきましょう。
ケース①:相手が離婚の話し合いに応じない
離婚の意思を表しても相手が話し合いに応じない場合には、話し合いでの離婚が難しいため裁判によって離婚を成立させる必要があります。
別居したからといってすぐに離婚できるわけではなく、婚姻関係が破綻していると認められる程度の別居期間が必要です。
しかし相手の同意なく別居した場合、「同意義務違反」や「悪意の遺棄」と判断されて逆に訴えられてしまう可能性も。
ケース②:DVやモラハラなどの被害を受けている
DVやモラハラなどで命の危険を感じるような被害を受けている場合には、すぐにでも別居をおすすめします。
相手が暴力をふるう場合、夫婦で冷静に話し合うことは難しく話し合いでの解決が望めません。
弁護士または法的機関などに相談することで、避難場所を紹介してもらうこともできます。
ケース③:子どもが虐待を受けている
DVやモラハラと同様に子どもへの虐待がみとめられた場合には、早急に別居する必要があります。
最近では比較的簡単に受け入れてくれるシェルターやシェアハウスなどもあるため、利用を検討してください。
子どもへの虐待を理由に親権を獲得して離婚するためには虐待の証拠が必要なので、弁護士などに今後の相談をすることも重要です。
ケース④:一緒にいることが精神的苦痛と感じる
相手と一緒にいることで精神的に苦痛と感じる場合や、まともな話し合いができないときには別居も検討することが必要です。
別居してもなお今後の同居生活が難しいと感じた場合には、離婚に向けた準備や証拠集めを進めましょう。
離婚したい!別居するための準備とは
離婚前に別居したいと思っても、なにを準備すればいいのかわからないこともあるでしょう。
離婚前の別居をスムーズに進めるためには大きく分けて3つの準備が必要です。
- お金に関わる準備
- 離婚のための資料集め
- 生活に関わる準備
家を出てしまったあとに後悔しても遅いので、別居する前に準備しておくことが大切です。
生活資金を準備する
別居して生活するためにはさまざまな費用がかかるため、別居前に必要なお金をためてから行動に移す必要があります。
生活にかかる費用のほかにまず必要になるのが、引っ越し費用や家賃、最低限必要な家電や家具などです。
まとまったお金があることで、別居後の心の余裕にもつながるでしょう。
財産を把握して資料を集めておく
別居前に離婚後の財産分与などで必要になる、婚姻期間中の財産の把握ができる資料を集めておく必要があります。
- 相手の収入がわかるもの
- 預貯金
- 不動産
- 車
- 家具など
お互いの結婚後にためた預貯金やマイホームなどは夫婦の協力によって築いた財産なので財産分与の対象です。
相手の収入がわかる資料などを含めて、同居していないとなかなか集めることが難しい資料もあるため、財産の把握と資料集めは別居前にやっておくことが必要でしょう。
離婚に必要な証拠を集める
離婚の原因が浮気やDV、モラハラなどの場合には、別居前に事実を裏付ける証拠集めが必要です。
相手が離婚に同意しない場合には裁判で法定離婚事由と認められる離婚の原因が必要になるため、証拠の提出は欠かせません。
自分で証拠を集めるのが難しいようであれば探偵に依頼したり、弁護士に相談したりするのもよいでしょう。
住む場所を見つける
すぐにでも家を出たい気持ちはわかりますが、別居をするときにまず必要になるのは住む場所です。
実家など受け入れてくれる場所があればよいですが、アパートを借りるとなるとすぐには決まらないこともあります。
一時的ではありますがDVなどで早急に別居が必要な場合には、シェルターなどの保護施設で受け入れてもらえる可能性もあるため公的機関に相談してみましょう。
子どもの親権や学校について考える
子どもを連れて別居する場合には、親権を獲得するための養育環境や子どもの保育園や学校について考える必要があります。
子どもの保育園や学校については、子どもの年齢によって保育園に預けることが難しい場合や転校が子どもの負担となることもあります。
子どもにとっても重要なことなので、別居先の環境などもあわせて検討しましょう。
仕事を見つける
別居中の生活費や離婚に向けた準備などで思っている以上にお金が必要になる可能性もあるため、専業主婦などの場合には仕事を見つけることが必要です。
パートなど扶養内で働いていた方も、別居前に仕事と収入について考えてみる必要があるでしょう。
安定した生活を送るためにも、収入源をしっかりと確保しておくと安心ですね。
離婚前の別居中にしてはいけないこと
離婚する前の別居中にやってはいけないことをまとめました。
- 一方的な別居
- 異性との交際
- 相手に対する嫌がらせ
離婚の前段階として別居する場合には、離婚のときに自分が不利になるような言動は控えなければいけません。
離婚前の別居中にしてはいけない3つのポイントを解説していきます。
一方的な別居
相手の同意なく一方的に別居することは裁判で争った場合に不利になる場合があります。
- 同居義務違反
- 悪意の遺棄
上記のような法律があり、夫婦はお互いに協力してともに生活することが法律で義務付けられています。
一方的に別居することは、悪意の遺棄とみなされて離婚の原因だと判断されてしまう可能性も。
場合によっては慰謝料を請求されるなど、離婚の際に不利になることもあるので注意が必要です。
異性との交際
別居中の配偶者以外の異性との交際は、慎重に行う必要があります。
別居中であっても婚姻関係が継続していることに変わりはないため、肉体関係を伴う交際は不貞行為として責任を負うことになる可能性も。
しかし別居中だからといって婚姻関係が破綻しているという理由にはならないため、別居中の異性との交際には気を付けましょう。
相手に対する嫌がらせ
別居中の離婚に向けた話し合いを進める中で、相手に対して嫌がらせや文句をいうことはやめましょう。
感情的になることで相手がさらに態度を硬化させてしまう場合や、調停委員からの心証を悪くしてしまうケースもあります。
スムーズに離婚まで進むよう自分の感情をコントロールして、相手への言動に注意しましょう。
離婚前の別居中に生活費は請求できる?
結婚している夫婦は結婚生活の中で発生する生活費用を分担する義務があります。
- 生活費
- 医療費
- 子どもの養育費
- 教育費など
上記のような婚姻から生じる費用のことを「婚姻費用」といい、別居中であっても受け取ることが可能です。
別居中の婚姻費用については相手が支払いに応じない場合、調停への申し立ても可能なので請求できる費用とあわせて確認していきましょう。
別居中の生活費は婚姻費用として請求できる
結婚している夫婦は婚姻費用を分担する義務があると法律で定められているため、別居中でもあっても生活費の請求は可能です。
民法760条は、「夫婦は、その資産、収入その他一切の事情を考慮して、婚姻から生ずる費用を分担する。」と定めています。
引用元:本橋総合法律事務所
夫婦が通常の社会生活を維持するための食費や住居などに必要な生活費や医療費を、それぞれの収入や資産に応じて負担します。
生活費は別居中にも毎日かかるものなので、分担する金額や支払い方法などは別居前に決めておくとよいでしょう。
ただし生活費を請求する側に別居の原因がある場合には、婚姻費用が請求できないケースもあります。
別居中の子どもの養育費も請求できる
子どもの養育費も生活費などと同様に婚姻費用に該当するため、子どもを引きとって面倒をみている側であれば養育費や教育費の請求が可能です。
婚姻費用は夫婦間の話し合いで決めることができますが一般的には相場があり、子どもの人数や年齢によっても請求できる金額は異なります。
支払いを拒まれた場合には調停に申し立てができる
別居中の婚姻費用の支払いを拒まれた場合や、生活費を請求したくても話し合えない状況にある場合には調停を申し立てることが可能です。
家庭裁判所に「婚姻費用の分担請求」の調停申し立てをして、調停で話し合いを進めます。
調停でも話がまとまらず不成立の場合には、自動的に審判手続きが開始され裁判官の審判によって結論がでます。
どれくらい別居期間があれば離婚できる?
離婚に必要な別居期間に法的な決まりはなく、夫婦の同意や離婚の原因によって離婚までに必要な期間は異なります。
離婚方法は下記3種類あり、離婚裁判へ進む場合には婚姻関係の破綻を示す客観的の別居期間が必要です。
- 協議離婚
- 調停離婚
- 裁判離婚
離婚に必要な別居期間について、注意点もあわせて確認していきましょう。
別居期間に関わらず夫婦が同意していれば離婚できる
夫婦のどちらも離婚に同意している場合には、別居期間の長さに関わらず離婚することが可能です。
協議離婚や調停離婚は話し合いで離婚を成立させるので、夫婦間で話し合いがまとまればすぐにでも離婚できます。
日本の離婚の9割近くは話し合いのみで離婚する「協議離婚」なので、別居期間1年以内で離婚する方も多くいます。
相手に原因がある場合は別居期間が短くても離婚できる
相手が離婚を拒否している場合でも相手に離婚の原因があると裁判で認められれば、別居期間に関わらず離婚できるケースがあります。
- 不貞行為
- 悪意の遺棄
- 3年以上の生死不明
- 回復の見込みがない強度の精神病
- その他婚姻を継続しがたい重大な事由(DV、モラハラなど)
法定離婚事由と認められる5つのケースがあり不倫やDV、モラハラなどが裁判で認められると、別居期間に関わらず離婚が可能です。
相手が原因の場合以外にも、同居していた期間が短いと別居期間が長期でなくても離婚が認められる場合もあります。
法的には別居期間が3~5年は必要
離婚裁判で法的に離婚が認められる別居期間は3年~5年といわれており、裁判官によって婚姻関係が破綻していると判断されるためにはある程度の別居期間が必要です。
婚姻関係の破綻(民法770条1項5号の「婚姻を継続し難い重大な事由」)とは、簡単にいうと、①夫婦が婚姻継続の意思をなくしてしまい、②夫婦としての共同生活を回復する見込みがない状態をいいます。
上記のような婚姻関係が破綻していることを他者が知ることは難しいため、裁判では別居期間という判断基準をもって離婚が妥当かを判断します。
別居期間はあくまで目安で離婚理由や夫婦の年齢、同居期間なども判断材料になるため、何年必要という決まりはありません。
単身赴任や家庭内別居は別居期間にカウントされないので注意が必要
単身赴任や家庭内別居などは他者から婚姻関係が破綻している事実が見えにくく、証明が難しいため別居期間にカウントされない可能性が高いです。
単身赴任は仕事のために別居、家庭内別居は「別居」とはいいますが同じ家で生活しているため、夫婦関係の悪化とは判断されず別居期間のカウントはされません。
単身赴任や家庭内別居は確実な証拠などがない場合、別居期間にはカウントされないので注意しましょう。
離婚前に別居するときの3つの注意点
離婚前に別居期間を設けることは、離婚が認められやすくなる一方で注意が必要です。
- 同居義務違反や悪意の遺棄になる可能性がある
- 収入が減って生活が苦しくなる
- 離婚に必要な証拠集めが難しくなる
別居中であっても法律上の婚姻関係は続いているため、一方的な別居は離婚のときに不利になる可能性もあります。
収入の面や離婚に向けた証拠集めが難しくなることもあるので十分に注意しましょう。
同居義務違反や悪意の遺棄になる可能性がある
夫婦はお互いに協力・扶助の義務があるとされているため、相手の同意なしに別居をした場合には同居義務に違反している、悪意の遺棄と判断される可能性があります。
民法752条は、「夫婦は同居し、互に協力し扶助しなければならない。」と定めており、同居義務を定めています。
引用元:本橋総合法律事務所
「悪意の遺棄」とは、正当な理由なく民法752条の同居・協力・扶助義務を履行しないことをいいます。
引用元:本橋総合法律事務所
法律に違反しているとなった場合、相手から逆に訴えられてしまい慰謝料を請求される可能性もあるので注意が必要です。
ただし相手が別居に同意している、別居に正当な理由があるときは悪意の遺棄にはあたりません。
収入が減って生活が苦しくなる
同居中の生活費を主に相手が負担していた場合、別居することで収入が減って生活が苦しくなる可能性があります。
別居するにあたり相手に生活費を請求することは可能ですが、スムーズに支払いをしてくれるかどうかはわかりません。
生活費など必要なお金についてもしっかりと確認して、自分で収入を得ることも大切です。
離婚に必要な証拠集めが難しくなる
相手の浮気やDV、モラハラなどが離婚理由の場合には、相手の行動を証明するための証拠が必要ですが別居中は証拠集めが難しくなる可能性があります。
離婚には財産分与の問題もあるため、相手の財産を知っておくことも重要です。
別居により相手と接触する機会が減ることで、同居していた時よりも証拠集めが難しくなり裁判などで不利になることも。
離婚したい妻の別居に関する体験談
離婚したいと考えている妻の別居についての体験談をまとめました。
- 別居から離婚が進まず悩んでいる
- 離婚・別居の金銭的問題で悩んでいる
別居してからも離婚するまでには悩みも多く、そもそも別居や離婚を切り出す段階で金銭的に追い詰められているという声もありました。
離婚したい妻の別居に関する体験談を2つご紹介します。
体験談①:別居中の旦那に離婚届を送っても受理してくれない
別居から離婚が進まず悩んでいる妻の体験談をみてみましょう。
別居して2ヶ月離婚もしたいです
旦那宛に離婚届送ったのに友達の保証人が要ると言われ受理されませんでした。
連絡もしなくなりました
住所、名字はそのままで服、荷物も旦那の家にある状態です
服は着払いすると言いましたが一向に送ってきません。家に入らしたくないとも言われどうすることも出来ない状態です
どうしたら解決するでしょうか?引用元:Yahoo!知恵袋
別居したからといって相手が応じなければ、すんなり離婚ができるとは限らないですよね。
別居を開始してしまうと簡単には家には戻れないので、荷物など必要なものを事前に検討しておかなくてはいけません。
離婚するには法律的な問題もあるため、困ったことがあれば一度弁護士へ相談してみてもよいでしょう。
体験談②:夫に別居したいと伝えたら慰謝料を払えと言われた
離婚・別居の際の金銭的な問題について、悩んでいる妻の体験談をみてみましょう。
離婚とか別居についてなんですが、例えば私の方から「別居したい(もしくは)離婚したい」と夫に伝えた場合、「お前から、(別居や離婚を)言い出したんだから、俺は養育費は払わない。
お前が俺に慰謝料を支払え」と言われたとしても、私は文句は言えないのでしょうか?夫の言う通り、養育費も貰わず、夫への慰謝料を支払わなければいけないのでしょうか?
引用元:Yahoo!知恵袋
離婚するにしても別居するにしても、夫婦間で必ず解決しなければいけないのがお金の問題です。
別居しても子どもの親であることに変わりはないのに、養育費は払わないといわれると不安になりますよね。
慰謝料や養育費の問題は離婚を進めるうえで重要なので、一人で悩まず弁護士へ相談をおすすめします。
まとめ
離婚したいからといって別居が必要なわけではありませんが、「婚姻関係が破綻している」ことを離婚事由としたいのであれば別居も一つの方法です。
また離婚前に別居をしたほうがいいケースについてまとめました。
- 離婚の話し合いに応じない
- 自分や子どもがDVなどの被害を受けている
- 一緒にいることが苦痛
相手と一緒にいても問題が解決する可能性が低い場合や、自分や子どもに危険が及ぶ場合などは別居をしたほうがいいでしょう。
経験のないことで不安もあると思いますが、離婚をするための別居を考えている場合には、金銭面や離婚までの道筋をしっかりと考えておくことが必要です。
有利に離婚や別居を進めるためには法律などの正しい知識が必要なので、早い段階で弁護士へ相談することをおすすめします。
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